~「あそこにいけばこうなれる」という期待感がキャリアのトレンドを作る~

キャリアにも「イグジットイメージ」が大事だというのは、私がベンチャー・スタートアップに特化して人材紹介という仕事をしてきたなかで感じていることです。

 

キャリアのトレンドを見ると、多くの人が日本の大企業を目指す時代から、外資系企業での高度なビジネススキル習得へとトレンドが移り、その後外資系コンサルティングファームや外資系金融機関などプロフェッショナルファームを志向する人が増え、そして昨今ベンチャー・スタートアップでのキャリアを思考する人が増えてきました。

 

この変遷は、やはりキャリアの「イグジットイメージ」が大きく影響しています。イグジットイメージとは「あそこにいけばこうなれる」という期待感を意味しています。

 

 

~キャリアのトレンドを作る「先駆者」の存在~

いまの時代、コンサルティングファームをキャリアの選択肢として志向する人は多いですが、20年前の日本はどうでしたでしょうか。10年ほど前からコンサルティングファームのパートナー(執行役員クラス)からお話をお聞きする機会が増えたのですが、その方々がコンサルティングファームに入社した時代というと、コンサルティングファームを選ぶというのは、キャリア選択として決して一般的とは言えなかったようです。

 

新卒の同期の多くが大手銀行や大手商社、大手メーカーに就職していく時代に、何をしているかよくわからないコンサルティングファームに入社するということは当時理解してもらえなかったようです。当然同期も少なく社員数も少ない組織のため、若くして高度なビジネス現場に放り出され修羅場をくぐり抜けながらキャリアを創っていく世界だけに、飛び抜けて実力が着くわけです。

 

そうやって鍛えられた人たちが、コンサルティングファームを卒業し、大企業の役員クラスになったり、新規事業を成功させたり、起業して上場を果たしたりという実績を出していくと、その活躍に注目が集まります。「コンサルティングファームに入って経験を積めばあのようになれるんだ」というイメージが徐々に広がっていくことで、のちに「行きたい場所」に変わって行きます。

 

 

~先駆者はいつの時代も市場価値が高い~

ベンチャー・スタートアップでのキャリアも同様です。

志ある起業家のもとに先陣を切って参画した優秀な人材がフォロワーとして経営を支え、またベンチャーキャピタルなど外部の支援者の支えもあり、新たなサービスを世の中に出して上場していくベンチャー・スタートアップが注目を集めるようになってきました。そのなかで起業家のみならず、経営の脇を固めるCOOやCTO、いわゆるCXOという経営幹部の活躍が注目されています。キャリアのロールモデルがベンチャー・スタートアップの世界でも出現し始めました。

こういった成功事例がでてくると「あそこにいけばこうなれる」という期待感が増幅していき、あとから続く方を増やしていきます。いま東京で転職活動をされる方の多くが、ベンチャー・スタートアップへのチャレンジを選択肢の一つとするところまで来ています。

 

そして先駆けてベンチャー・スタートアップに挑戦し実績を出した人たちの市場価値は極めて高く、引く手あまたのキャリアを手にしています。

 

話を戻しますと、地方への移住を含めたキャリアを考える際、まだ地方でのキャリアに「イグジットイメージ」が持ちにくい、そういう成功事例がまだ出てきていないということかもしれません。

4つの欠乏欲求が満たされたとしても、その先の自己実現欲求まで満たせるという期待感が地方には抱くことができず、やはり東京でコストが高くても一生懸命欠乏欲求を満たす活動をしながらその先の自己実現を追い求めるしかない。地方に帰るのはどこか「あきらめ」や「逃げ」に近い印象を持たれる方もまだまだ多いように感じてしまいます。

 

 

♯4 キャリアのトレンドからみる「福岡の可能性」

福岡はここから3年が最も面白い ~キャリアの観点からみる福岡移住転職~♯4

著者プロフィール

高尾大輔
福岡県生まれ、東福岡高校出身。北海道大学を卒業後、住宅関連のベンチャー企業での営業・新規支店立ち上げを経験後、リクルートエージェント(現リクルートキャリア)に転職し人材紹介コンサルタントとしてのキャリアをスタート。ベンチャー・スタートアップ企業の幹部採用支援に特化したプロコミットにてコンサルタント、事業責任者を務め、2018年に独立。(国家資格キャリアコンサルタント/米国CCE,Inc. GCDF-Japan キャリアカウンセラー)

<受賞歴>
ビズリーチ主催「ヘッドハンター・サミット」年間最優秀賞・優秀賞受賞
リクルートキャリア主催「MVA(Most Valuable Agent)」最優秀賞受賞・優秀賞受賞