メッセージ2件目

ブログを始めてから幾つものメッセージを頂いている件、第2弾。精神疾患という病気とどのように向き合うかについて、先日届いたある学生さんからのメッセージで改めて考えるきっかけを与えてもらった。

ご本人の匿名性を担保した上で、ご紹介させて頂きたい。

 

とある学生さんからのメッセージ

中村義之さま

○○大学 Aです。

どこからメッセージを送ればよいかわからなかったため、こちらから失礼します。

ブログを読ませていただきました。
正直申し上げてかなりの衝撃を受けました。
今までベンチャーでガツガツしている方の話はよく聞いていましたが、その中で精神病にかかったという話は初めてだったからです。

ここまでしっかり告白するというのにはかなりの勇気を要したのではないかと想像しています。精神病はまだ理解が進んでいるとは思えず、発症したら「メンタルの弱い奴」、症状が出ている間は「怠け者」というレッテルを貼られうる病気だと思います。

私は重くならないうちに病院にかかれたためそこまで重症にならず、薬を飲んでいれば学校に行くこともできています。

それでも、自分の症状が次第に重くなっていくことを実感しています。不眠症に最近なり始めました。ひどい無気力感や無力感に襲われることも多々あります。

私はなぜこうなってしまったのか悔しくてたまらなかったです。でも、だからこそできることがあるのではないかと最近考えるようになりました。

私はメンタルヘルス分野で起業したいと考えています。IT×メンタルヘルスを考えています。その点で中村さまのような精神病にかかられながら、そのあと起業される方は非常に勇気をもらえます。

改めて非常に内容に感銘を受けました。ありがとうございました。

 

上記に対する僕の回答

Aさん

メッセージありがとうございます。 私も病気になった当初は悔しくて堪らなかったですよ。

ただ、2年間に渡って自分が病気になった原因と結果をありのまま受け入れたことで、随分気が楽になりました。 起こってしまったことは変えられない事実なので、それをもとにいかに生きるかのほうに目線が向けられると、自然とポジティブになれます。

メンタルヘルスの分野での起業、素晴らしいです。 自身の原体験をもとにしてサービスを作ることは、利用するユーザーにとってもメリットですし、ご自身の活力にもなると思います。

一点だけAさんと私とで認識の違うことがあります。 それは、精神疾患にかかった人が、怠け者だとか弱い奴、と見られる、ということです。私は必ずしもそうは思いません。少なくとも私は人からそう見られていないと思っていますし、仮に思われていたとしても全く意に介しません。

私がこのブログを公開するにあたって、おそらくAさんが想像されるほどは勇気を要しませんでした。私は自分が病気になったことを他人がどう思おうがあまり気にしません。病気によって失ったものもあれば逆に得たものもあります。その経験自体が自分の糧ですので、あまりできない貴重な経験をすることができたと思っています。

だから、他人にどう言われようと、この病気が私の人生をより色彩豊かにしてくれたと信じています。Aさんも、人の見方なんか気にしないでいいと思います。もし気になっているとしたら、まだ病気が治りきっていないということかもしれませんよ。

症状が重くなってるとおっしゃってますね。ぜひ無理せず、再度治療に専念してみませんか?Aさんの経済状況など詳しく分かりませんが、状況が許せば、期限を設けずに休養を取られることをお勧めします。もちろん、医師とよく相談の上、治療の方法や日々の生活管理も並行すべきでしょう。

まだ学生さんですし、いくらでもやり直しは効きます。Aさんよりおそらく10歳以上も上の私が言うのでそれは間違いありません。 今ここでしっかり治療して病気をうまくコントロールできるようになることが長い人生で重要なことだと強く思います。

何かのご縁で頂いたメッセージ、迂闊に踏み込んだご返信を差し上げるのはいかがなものかという気持ちもありましたが、Aさんの文面から察するに、ご体調が芳しくないのではと心配になりました。

私も病気になった当初は病気を正面から受け入れることができず、焦ってすぐ治すことばかりを考えていました。でも実は、その焦りが治療に最も禁物なんです。

どうぞ医師やご家族とよくご相談の上、治療の継続や休養期間の延長を考えてみて下さい。起業に関しては、しっかり完治して病気と真正面から向き合えるようになってからでもまったく遅くはないですし、将来のあなたのサービスを利用するユーザーにとってもメリットが大きいのではないでしょうか。

 

多分、この学生さんはすごく真面目なんだろうなぁ。真面目が故に「怠惰に思われたくない」、「休んじゃいけない」と思っちゃう。

でも、体の症状が出ているのであればそれとしっかり向き合わなければならないし、その状態を受け入れなければならない。

メンタルヘルスケアで起業するという意思は素晴らしいし、ぜひ自身の体験をもとに素晴らしいしサービスを作り上げてほしいと思うが、その前にしっかりと体調を回復させて欲しい。

この学生さんはメールもしっかりとした文体で、自分の考えを表明しようという強い意思を感じる。

ぜひ心と身体を健康にした上で、目標に向かって邁進して欲しい。

 

僕が病気で得たもの

メンタル疾患にかかって、失うものは多い。

以前のようにハードワークができない、ジェットコースターのような感情の起伏を避けたい、場合によっては継続的に薬を服用する必要がある、などなど、生活に一定の制約が生まれる。

もちろん、治療のために休職する・休学する、その分、経済的なコストがかかる。

 

一方で、病気になって得るものもあるのだ。

  • 人間の感情の機微に敏感になる
  • 自分の幸福を形作っている本質的な価値に気づく
  • 自分にも他人にも優しくなる

 

でも、これらを得るためには、病気と正面から向き合わなければいけない。

中途半端に付き合ってると、「メンタル病んじゃったダメな自分」から抜け出せないのだ。

 

メンタル疾患への偏見について

この学生さんが指摘するように、一般論として「精神疾患」に対する偏見が未だに存在しているかどうかについて、僕は答えを持っていない。

一つ言えるのは、もしそのような偏見を持っている人がいたら、その人からは距離を置くことだ。

厚生労働省によると、精神疾患の患者数は300万人を軽く超える。

この学生さんのいる大学ではどうかわからないが、社会に出て会社務めをすると、いかにメンタルヘルスで悩む人が多いかに気づくだろう・・

それなのに尚、平然と「メンタル病むやつは弱いやつ」なんて言ってのけるヤカラは、常識はずれというか異常というか、想像力に欠けるというか。

そんなの無視すればいい。

もし何かのきっかけで病気になったら、周りの目は気にせず、しっかり治療しよう。誰がなんと言おうと、「治るまで無理しちゃダメ」だ。

そして正面から向き合った暁には、人間の持つ感情の豊かさに圧倒されて、世界と人生が以前よりずっと彩りを増して感じられるだろう。

著者プロフィール

中村 義之
株式会社YOUTURN代表。地方のアセットを活かして持続可能なライフスタイルとイノベーションを生みだすための起業インフラを創出中。メイン事業はU・Iターン特化の転職エージェント。地方のスタートアップで活躍したい人材募集中。