「農業を始める」というアイディア

「農業を始める」というのは、自分のこれまでのキャリアから考えると突拍子もないアイディアだ。だけどこの発想を得て以来、僕はこのアイディアの持つ魅力に取り憑かれてしまっている。

僕のキャリアを知っている人からすると「なんでお前が農業?」と思われるだろう。当然、久しぶりに会う知人・友人にこの話を切り出すとキョトンとした表情に変わる。だけど、その「なぜ」を説明するや、結構面白がってくれたり、「一緒に手伝わせて」と言ってくれたり、いい反応が返ってくることが大半だ。ウケがいいので最近は小ばなしとしても多用するようになった。

ただ実際は「ウケねらい」でやっているわけではなくて、至極真面目な理由から農業を志している。その理由をこのブログでも紹介していきたい。

 

農業を始める4つの理由

結論から先に書いてしまうけど、農業を志す理由は大きくこの4つ。農業について知れば知るほど多様な側面を発見できて、今ではこれだけに収まらないんだけど、当初思い立った動機であるこの4つについて、それぞれ書いていきたいと思う。

 

安心安全な作物を自分でつくってみたい

以前、前職で上場までのハードワークによって病気を患った経緯と、その後の治療と療養生活についてブログを書いたが、その番外編として「効果があった健康法」もまとめている。その番外編の中で食生活についても挙げているが、食について知れば知るほど、健康法の一項目だけでは終わらないものであることが分かってくる。

言わずもがな、自分の体(強いて言えば心さえ)は「食べもの」で作られているわけで、自分が病気を治し、またその後健康を維持していく上で、なによりもまず「食」ありきだと日々実感している。病気になってからというもの色んな健康法を試したが、「食」さえ整っていれば大きくコンディションを崩すことはそうないし、逆に「食」が乱れていると他の健康法をどれだけ取り入れようともほとんど意味がない。

例えば、暴飲暴食で体調が優れないときにどれだけ瞑想を実施しても焼け石に水。一方、バランスの良い食生活をしていれば、多少の睡眠不足や働き過ぎぐらいなら乗り切れる。「食」は健康や日々のコンディションの維持・向上のベースになるものだ。

ただ、上記のような理由だけで「農業を始める」っていうのは飛躍しているように感じる人も多いと思うし、実際、それだけが理由ではない。以下で述べるように、自分にとって鮮烈な経験があったのだ。

 

妻のアトピー

僕も妻もアトピー持ちで、特に妻のアトピーは肌がただれるぐらいひどかった。3年前の冬、妻はアトピーがひどくて夜も眠れない状態が続いていた。皮膚科にも通っていたけど、どうにも対処療法的で、根本的な解決には至っていなかった。当時僕はどうやったら妻のアトピーをキレイに治して夜もぐっすり眠れるようになるかをずっと考えていた。

そんな折、とあるイベントで農家さんにお会いした。その方はそのイベントにお米を持ってきていたのだが、話しを伺うと「子供のアトピーを治すために手間暇かけて無農薬で玄米をつくった」とのことだ。「えっ、なんで無農薬の玄米でアトピーが治るの??」っていうのが率直な感想だった。それまで、お米とアトピーがまったくリンクしていなかったし、そもそも発想さえしなかった。

とはいえ、なんとかして妻のアトピーを治してあげたいと思っていたので、薬みたいに副作用のあるものではないし、「騙されたと思って無農薬玄米を買ってみるか」と思い至ったのである。それで実際治ったから驚きだ。それから毎朝玄米を食べるようにしてから数週間も経った頃だろうか、見事に妻のアトピーの症状が緩和して、最終的にキレイに治まったのだ。

「人間の体は食べたもので作られる」なんて言葉は聞き慣れすぎてしまっていて、あらためて反芻することはなかったけど、この体験でこの言葉の真理を大いに心に突きつけられた。なぜ玄米でアトピーが治ったかを科学することがこの記事の目的ではないし、自分自身の専門分野ではないのでここで述べることはしないが、とにかく「食べもので治った事実」に僕は感動を覚えたのだ。

 

妻の乳がん

これまであまり公で話してこなかったが、僕がメンタル疾患を患った年、妻が乳がんに罹っている。メンタル疾患は自殺願望さえ湧かない限り生命の危険を感じることはないが、乳がんの場合はそういうわけにはいかないだろう。幸い、早期発見と治療ができて完治し、再発もしていない。ただ、その病気の前後で日々の健康と食生活に対する意識は大きく変わった。ガンにならない食生活、ガンを治した食生活に対するアンテナが高くなるし、その動機は切実だ。そうなるとやはりベースになるのは安心安全な食材で、すでに「無農薬」の玄米で食の持つ力を体験している僕ら夫婦は、できるだけ無農薬・無添加の食材を選択するようになった。

 

安心安全な食材へのアクセスが困難

メンタル疾患になった夫、乳がんになった妻・・。そんな夫婦が何よりも求めるのは「健康」であり、健康な体をつくるための安心安全な食糧だ。しかし、日常的な買い物をしている中で、「無農薬」や「無添加」の食材になんともアクセスしづらい。ネットスーパーやネット通販で、割高な食材を送料を払って送ってもらわないと中々購入できない。「街のスーパーで普通に売ってる野菜でも十分安全でしょ」と言う人もいるかもしれないが、一度病気で命のリスクを感じた後にはどうしてもセンシティブになるものなのだ。病気のリスクになり得るものは出来る限り取り除きたい。しかし、そのための食材をリーズナブルな価格でアクセスできない。「だったら自分でつくってみたいな」と思ったのが、農業に興味をもった最初のきっかけだ。

 

福岡で無農薬の米・野菜をつくってみたい

安心安全な食糧へのアクセスが難しいなら、自分でつくってみよう。せっかく福岡で活動しているのであれば、ちょっと車を飛ばせば農村地帯だし、本業の合間に自分と家族が食べる分ぐらいならつくれるんじゃないか。そう思ったのが、農業を始めようと決めた最初のきっかけだ。

ただ、農業は完全にド素人で、近親者に農家はいない。まさに文字通り「畑違い」の選択をしたわけだ。そう決めたのは今年の始め頃。色んな知人友人に「農業しようと思うんだけど・・」と話すようになった。それから、知人友人との会話を通じて、農業の色んな可能性に魅せられていったわけだが、それは次の記事で書いていく。

 

次の記事【「農作業はメンタル疾患に良い」を自ら実践】

著者プロフィール

中村 義之
株式会社YOUTURN代表。地方のアセットを活かして持続可能なライフスタイルとイノベーションを生みだすための起業インフラを創出中。メイン事業はU・Iターン特化の転職エージェント。地方のスタートアップで活躍したい人材募集中。