「農作業ってメンタル疾患に良いらしいですよ」

「農業やってみたい!」という確固たる意思を、発想が湧いた当初から持ち合わせていたわけではない。他の多くのアイディアと同様、最初はぼんやりした「なんとなく良さそう」ぐらいの感触で、その後いくつかのきっかけといくらかの時間による熟成を経て強固な意思になっていった。

その「意志固め」に大きく寄与したのが、「農作業ってメンタル疾患に良いらしいですよ」という知人からの一言だ。メンタルヘルスケア系ベンチャーの経営者の方とのランチ中、彼に農業の話を切り出したところ、農業の持つ多様な側面の一つを紹介してくれた。

「農作業がメンタル疾患に効く」という話は、「無農薬玄米がアトピーに効く」という話ほどは自分にとって意外性のある話ではなかった。「日光浴」や「運動」、「自然環境」がうつ病などメンタル疾患に良い効果があるというのは、うつ病関連の書籍を読めばどこにも書いてあることだ。何となく想像はつくし、聞けば当たり前のように思える。

しかし、「米や野菜などの成果物」自体にしか関心を見出していなかった僕は、「成果物をつくる行為」そのものにも価値を見出すことができて大いに感動した。特に僕自身、メンタル疾患経験者なので尚更その価値は重い。「農業やったら良いことしかないな。そうなればもう、やるしかない。」と意思を固めていった。

 

世の中、メンタル疾患多過ぎ。なんとかしたい。

世の中、メンタル疾患多過ぎだと思いませんか?少なくとも僕の身の回りにはとても多い。家族・親戚・友人含めて、「1家族に1人」と言ってもいいぐらいの感覚だ。厚生労働省の統計では300万人強らしいが、病院に行っていない潜在層は含まれていない数字だろう。

このブログを開設してすぐに書いた僕のメンタル疾患体験記は多くの方に読んで頂いているが、読者の方(多くはメンタル疾患の治療中、或いは経験者)から感想や相談が寄せられることも多い。そういったメッセージは大体夜の23時過ぎに届く。夜寝る前にメール通知に気づいてメッセージを読んでみると、「共感した」や「言葉に勇気をもらった」などの感想もあれば、「どうやって治せばいいか」や「どうやって乗り越えたらいいか」などの相談もある。

頂いたメッセージで僕がお役に立てると思うものは極力返信するようにしているけど、結局僕にできることは「共感や同情を示すこと」で、良くて「励ますこと」ができるぐらいだ。なんというか、「言葉」の域を出ない。その中に具体的で実践的な確固たる「解」がない。僕は医者ではないけれど、せっかく何かの縁で自分に連絡をくれた人に、「これをやったら治りますよ、良くなりますよ」と自信をもって言えるものを持ちたい。昨年末にブログを開設してからというもの、ずっとそんな思いを抱いてきた。農業はその「解」になり得るのだろうか。

 

「で、実際どうなの?効くの?」を実証してみたい。

「病気にこれが効く!」なんて医者でもなければ研究者でもないので、将来的にも言い切れることはないだろう。しかもそれが薬などの医療行為ではなく、「農作業」だったり「生活環境」だったりすると、効果の科学的・客観的な検証は非常に難しそうだ。ただ、「自分はこれで元気になった」ぐらいは言ってもバチは当たらないだろう。まず僕は「農作業を通じて元気になった」を自分で実践してみようと思う。

以前のエントリーでも書いたけど、僕の病気は「寛解した」といっても、病気の前と比較すると明らかに脳と体に違和感がある。詳細は前の記事を読んで頂ければと思うが、端的に言うと、水が一杯になったら病気になるコップがあるとして、そのコップの容量が病気になった後ではグッと少なくなったようなイメージだ。農業に従事することで具体的に身体的違和感がなくなっていき、「容量」が増えたとしたら、自分としてはこれ以上嬉しいことはないし、他の人にも一つの「サンプル」として紹介できるはずだ。

 

数ヶ月間やってみた「手応え」

もちろん、僕の身体の状態が改善されたとしても「メンタル疾患に効いた」とは必ずしも言えない。僕はすでに「寛解」の診断を受けているし、病後も2年以上の時間が経っている。それでも僕自身がまずは自分で体感しないことには、その先に進めない。

ただ、この数ヶ月間多少なりとも農作業を経験してみて、かなり手応えを感じている。実際、「容量」が大きくなっている感覚もある。

この「手応え」を足がかりにして、より多くの人に農作業を通じた療養プログラムを提供していく構想を描いている。まだまだ構想段階でしかないけれど、次の記事でその「構想」について書いていきたい。

 

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著者プロフィール

中村 義之
株式会社YOUTURN代表。地方のアセットを活かして持続可能なライフスタイルとイノベーションを生みだすための起業インフラを創出中。メイン事業はU・Iターン特化の転職エージェント。地方のスタートアップで活躍したい人材募集中。