継続は成功のもと

失敗しても、失敗から学んで継続し続けられればいつかは成功する。「成功者」とは諦めなかった人だ。

こういった話は起業の精神論や自己啓発の類でよく聞く話だ。継続すればいつか成功するっていうのは一つの真理だと思うが、継続自体が難しいこともまた事実だ。資金調達をして急成長を試みるスタートアップは資金がついえる前にマネタイズを成功させなければならない。あるいは、調達のラウンドを繰り返す。

一方で、調達した資金は何に使われているのか。ウェブ系の事業であればその多くが人件費とオフィス賃料に消える。創業初期のスタートアップであれば、調達した資金は「創業メンバーの生活費」に充てられると言ってもあながち間違いではないだろう。すなわち、創業メンバーの生活費さえ限りなくゼロに押さえられれば、事業を「継続」できる期間がその分長くなる。

 

地方の生活コストの低さはすごい

すでに地方移住はブームになっているので周知のことだと思うが、地方の生活コストは本当に低い。例えば、最近僕が借りた福岡の空き家は2階建ての一軒家(7部屋)で月額2万円だ。ついでに畑2枚と田んぼ1枚も貸してもらえたので、YOUTURNの経営チーム分の食糧まで充分まかなえそう。

もちろん、不動産屋に正面からあたってはダメで、地域に入っていって地元の人としっかりコミュニケーションを取ることが前提にはなる。だけど、その努力をして余りあるほどのアセットをゲットできるのであれば、やらない手はないだろう。僕らはこれから借りた空き家を整備して、充分に事業運営に耐えるようにしていくつもりだ。東京のオフィス賃料と比較したらタダ同然の家賃で住まい兼オフィスを借りられるのであれば、やはり僕は東京での起業ではなくて地方での起業を選ぶ。

 

「ベーシックインカム」ならぬ「ベーシック収穫」

住むところが決まったら次は食べもの。それも自分で作ってしまえばいい。空き家のすぐ近くに田畑が存在するのが地方生活の素敵なところだ。米・大豆・野菜を自分たちが食べる分だけ作れば充分な栄養を摂取できるし、なにより健康的だ。調味料や肉・卵を別途購入したとしても、都会生活と比べれば食費は限りなくゼロに近づけられる。

「ベーシックインカム」は有効な仕組みだと思うし、将来的に国家レベルで導入が進めば人間の暮らしのあり方は大きく変わると思う。ただ、当面は財源の問題があるし、試験的な取り組みを始めている地方自治体はあるが支給期間が定められているので「継続」という観点では充分ではない。

例えば、3年間に渡ってベーシックインカムを受給できたとしても、起業家が3年で事業を軌道に乗せられる保証なんてない。また、立ち上げる事業内容に条件が定められている場合、制約のある事業内容に情熱を燃やせる起業家はそんなに多くない気がする。少なくとも僕は、「◯◯のテーマで◯年以内で事業立ち上げて下さい」って言われても気合が入らないし、それをするぐらいならどこかのイケてる企業で新規事業を担当したほうがマシだ。

せっかくリスクをとって起業するんだったら、「制約なし」の条件下で真っ白なキャンバスに自分独自のビジョンを描いたほうが楽しいし、そのほうが「自分の意思」も継続しやすいはずだ。それを可能にするためには、できるだけ「自分の生活を第三者に依存しない」状態に自分を置く必要がある。

タダ同然の家を借りて、タダ同然の自分でつくった作物を食べる。天災や戦争でもない限り、この生活が数年で途絶えることはないだろう。この生活基盤の上に、自分たちが心から実現したいと思う事業を創出する。これこそ真の自由だ。自分たちでつくった米や野菜は、「ベーシック収穫」としてチームでシェアすればいい。

 

「ベーシック収穫」3つのメリット

資金を純粋な「投資」に使える

「本当はやりたい事業があるけど、当座の運転資金をつくるために受託で売上をつくる」とか、「本来やりたかった事業ではマネタイズが遠そうだから、ピボットしてそんなにやりたくないけどマネタイズが早そうなビジネスに変えた」とか、スタートアップでよくある話だ。

「運転資金」は創業初期であればほぼ生活費なので、「ベーシック収穫」の生活で代替できる。自分で用意した起業資金や調達した資金は「生活費」に消えることはないので、純粋に事業投資に回すことができる。或いは、投資を控えれば資金がショートするまでの時間を先延ばしできるので、拙速にピボットする必要がない。

自分が心からやりたいと思う事業があるなら、余計な出稼ぎはやめて事業だけに集中すべきだし、拙速なピボットもやるべきではない。(理念の軸がぶれていないピボットはありだと思うが。)

 

健康管理に最適

事業で成功しようが経済的に裕福になろうが、健康を損なったらすべて無意味だ。事業の成功と引き換えに自分の健康を悪魔に売る人はいないだろう。もし「売る」と名言する人がいても、おそらく健康を一度も害したことがない人だ。たとえ上場しようと、キャピタルゲインを得ようと、健康でなければ不幸だ。そんな生き方をしていたら死ぬときに必ず後悔する。上場直後に病気になった僕が言うのだから間違いない。

だから、起業家こそ自分の健康に気をつけるべきで、心身ともに健康で事業も成功させて幸福になって欲しいと思う。日々の農作業は良い運動になるし、旬の新鮮な野菜は健康に良いに決まっている。自分たちが食べる分であれば、事業をやりながらでも栽培できる。

 

事業に失敗しても幸福は残る

冒頭で「継続すればいつか成功する」と書いたので若干矛盾するかもしれないが、もし仮に何らかの事情で事業が失敗に終わって起業を諦めたとしても、自分の生活は残る。会社をたたんで給与がゼロになったとしても、裏の畑にいって野菜を採ってきたらいい。備蓄米を食べればいい。事業が失敗して、借金が残って、病気で働けなくて、家族も離散して・・。そんな状況に陥ったら、「起業した自分」を呪うしかない。

地方でのベーシック収穫生活では、事業が失敗しても幸福を構成する大きな要素、家族・健康・生活は残る。仮に借金があったとしても、健康体であればいくらでも再起可能だ。事業の成否で幸・不幸のサイコロを振るのはやめよう。どんな出目でも幸福になれる環境で起業するのがベストだ。

 

まずは自分で実践してみる。

まずはYOUTURNの経営チームでこの起業スタイルを実践していく予定だ。すでに古民家と田畑をゲットできたので、これから拠点を整備する。このブログでノウハウや成功・失敗事例を随時公開していこうと思う。また、ノウハウが蓄積できたら福岡の各地、あるいは全国各地で同様の起業インフラを作っていきたいと思っている。

 

最後に

「僕が農業を始める理由」ということで4回に分けて実現したいことを書いてきたが、他にもたくさんアイディアがある。どれもまだ構想段階なので、まず最初に着手しようと思っていることをピックアップして書いてきた。

農業は可能性に溢れているし、多様な側面があって面白い。特に、東京では中々実現できない環境なので、地方起業ならではの独自性が発揮できることも嬉しい。都会に住んでいても農業に興味のある人は多いので、より多くの人に地方移住を具体的に検討してもらえるようにこれからも発信していきたい。

 

【僕が農業を始める理由①】メンタル疾患と妻の乳がん

【僕が農業を始める理由②】「農作業はメンタル疾患に良い」の実践

【僕が農業を始める理由③】メンタル疾患療養プログラム構想

著者プロフィール

中村 義之
株式会社YOUTURN代表。地方のアセットを活かして持続可能なライフスタイルとイノベーションを生みだすための起業インフラを創出中。メイン事業はU・Iターン特化の転職エージェント。地方のスタートアップで活躍したい人材募集中。