〜石井スポーツ・REVICキャピタル等との事業提携で登山をアップデート

1億人が日本の自然に親しむ世界を目指す〜

去る4月13日、福岡で登山アプリを展開する株式会社ヤマップが、登山・アウトドア用品専門店を展開する株式会社ICI石井スポーツ、九州広域復興支援ファンドおよび複数の企業・ファンドを引受先とする総額12億円の第三者割当増資を実施した。

同日、ヤマップは石井スポーツと共同で記者会見を実施。ヤマップの創業の経緯から、資金調達を経てどのような成長を目指していくのか、また、石井スポーツとの事業提携の具体的な内容について、ヤマップ代表の春山氏からプレゼンテーションが行われた。

YOUTURNでは、東京から福岡のスタートアップに参画を検討しているビジネスパーソン、特にやマップ社を検討している読者の参考になるべく、資金調達後の具体的な方針について語られた記者会見の全文を本ブログでご紹介したい。

合わせて、春山氏のインタビュー記事もお読み頂けると幸いだ。

 

記者会見全文

吉川 本日はお忙しいところ、お集まり頂きまして誠にありがとうございます。本日司会進行を務めさせていただきます、株式会社ヤマップの吉川と申します。どうぞよろしくお願い致します。まず、株式会社ヤマップ代表取締役 春山慶彦よりプレゼンテーションがございます。

春山 本日はお忙しい中お集まり頂き誠にありがとうございます。株式会社ヤマップ代表取締役の春山慶彦と申します。どうぞよろしくお願いします。

本日は記者会見ということで、主にシリーズBの資金調達をさせていただきましたことを皆さんにご案内させていただければと思います。お配りした資料に概要等は書いているんですけれども、その詳細を約1時間の時間でお伝えできればと思っております。

私たちがなぜヤマップを始めたかという原点から、最初に共有させていただければと思います。私が尊敬しております方の一人に、南方熊楠(みなかた くまぐす)という博物学者・生物学者の方がいらっしゃいます。

南方熊楠さんが、こんな言葉を残しています。
我が国特有の天然風景は、我が国の曼荼羅ならん。(中略)風景ほど実に人世に有用なるものは少なしと知るべし。
人間が自然から学ぶことがいかに多いか。風景こそ人の世の根本であることを表現した言葉でもあると思っております。

なぜヤマップを始めたのか。なぜ今登山・アウトドアが日本社会に必要なのか。私たちなりに解釈したのがこちらの文章です。少し長いですけれども、紹介させていただければと思います。

 

古来より人間は自然から多くを学んできました。

元来人間にとって自然は、保護という守る対象としてではなく、敬い、畏れ、感謝し、好奇心をかきたてる大いなる存在としてあり続けてきました。

都市化が進み、気持ちも体も自然から離れがちな現代において、自然と都市を繋ぐ事業をつくることはできないだろうか。

その思いで立ち上げたのがヤマップです。

私たちヤマップは、深遠な遊びである登山・アウトドアを通して、人類が培ってきた自然観や自然との健全な関係性を、現代に合う形で引き継ぎ、深めていければと願っております。

株式会社ヤマップ 代表取締役 春山慶彦

 

このビジョンを掲げて、2013年3月に創業いたしました。

具体的にヤマップを通して実現したいことを3つ掲げています。
1つは21世紀以降の人類にとって最高にクールな遊びとなるよう登山・アウトドアを成熟させていきたい。

2つ目は、情報技術を駆使して安心安全に登山・アウトドアが楽しめる仕組みを作っていきたい。

3つ目が、登山・アウトドアを通して地域経済に貢献し、人類の健康寿命延伸にも寄与したい。

これらの3つをミッションに掲げています。
私たちがビジネスを開始して約5年。現在ヤマップは登山・アウトドアユーザーさんが集まる日本最大級のコミュニティプラットフォームになっております。ヤマップのアプリの特徴は、携帯の電波が繋がらない山の中でもスマートフォンで現在位置がわかる機能こと。山で撮った写真や登山の記録を簡単に共有ができる、山のSNS機能も兼ね備えていることです。

2013年3月にリリースをして、直近の数字としては、アプリのダウンロード数が82万件(2018年4月時点)になりました。月間のページビューが1億弱になりまして、2015年の春以降、ユーザーさん同士のコミュニケーションも非常に活発になっています。また、「山に行きました」、「アウトドアしました」という活動日記の数が145万件を超えています。iTunesやGoogle Playで登山あるいはアウトドアで検索していただくと、大体ヤマップがトップで表示されるようになっています。

ここからいろんな方のお力を頂きながら、事業をもっと推進していこうということで、今回、資金調達をさせていただきました。ご出資頂いた企業様としては計14社に上ります。調達金額としては総額約12億円になります。

ご出資頂いた企業様は、

株式会社ICI石井スポーツ様
株式会社FFGベンチャーパートナーズ様
アイ・マーキュリーキャピタル様
せとうちDMO(せとうち観光活性化ファンド)様
株式会社SRL様
株式会社佐銀キャピタル&コンサルティング様
森永製菓株式会社様
REVICキャピタル株式会社様 他(九州広域復興支援ファンド)
山口キャピタル株式会社様
SMBCベンチャーキャピタル株式会社様
日本アジアグループ株式会社様
大分ベンチャーキャピタル株式会社様
株式会社広島ベンチャーキャピタル様
株式会社ゼロワンブースター様

という14社になります。

資金調達の目的は主に2つです。

一つは登山をアップデートさせたいという点です。登山・アウトドアは、まだまだマイナーなアクティビティだと思っています。都市化が進む現代社会において、登山・アウトドアの価値や社会的意義はより深まっていると感じております。また、携わる人々の数も、今以上に広がる可能性を秘めています。登山・アウトドアをアップデートする形でヤマップは事業を成長させていきたい、そのための事業連携を今回の資金調達を通して進めていきたいと考えております。サービスを成長させることで、「多くの人が山や自然に親しむ環境・仕組みをつくる」というのが今回の大きな事業、資金調達の目的になります。

登山人口は、約800万人から1,000万人と言われているんですけれども、この数を2,000万人、目標としては1億人の人たちが関わるアクティビティに育てていきたい。といいますのも、私たちは単に登山・アウトドアを盛り上げたいというわけではなく、登山×ランニング、登山×自然観光、登山×ヘルスケア、登山×山ご飯、登山×教育、登山×ライフスタイル… あらゆる領域と掛け算し、登山・アウトドアの楽しみ方を広げ、関わる人を増やしていきたい。日本にいらっしゃる方や日本を訪れる方が、自然に触れる環境づくり・仕組みづくりを行っていきたいと考えております。そのための資金調達であると私たちは認識しております。

もう一つ、今回の資金調達の特徴ですが、事業会社様だけでなく地銀系・観光系のファンド様から調達をさせていただいたことです。

事業会社様からの調達という面では、石井スポーツ様との連携が主になります。後ほど石井スポーツの荒川社長からもお話をいただきますが、大きな枠組みとしては、アプリ・Webに強いヤマップが、国内の登山・アウトドアの小売店としては大手であります石井スポーツ様の店舗やECサイトと連携させていただきます。

登山・アウトドアは、自然が舞台のアクティビティになります。ですので、アプリやWebにとどまらず、山でのイベントですとか、店舗での講習会ですとか、リアルでの展開を石井スポーツ様と共同で進めていく予定です。

地銀系・観光系ファンド様からの調達に関してです。私たちは福岡にあるベンチャー企業です。自分たちが成長することで、なるべく地域にノウハウや成長資金が還元できるようなスキームをつくることができないか。地方のスタートアップベンチャーとして、正直で美しい資金調達ができないかと模索しまして、念願が叶い、福岡銀行様、山口銀行様、佐賀銀行様、大分銀行様、広島銀行様、せとうちDMO様からご出資をいただきました。REVICキャピタル様は、九州広域復興支援ファンドから出資していただく形となりました。

地銀系・観光系のファンドの方々が集まってご出資していただくのはレアなケースだと思います。地域に根ざした活動をやっていきたいという私たちの思いで、このような座組が実現しましたことを感謝いたしております。自然観光に関しましては、地元の企業様、観光団体様、自治体様と連携をしていきながら自然観光を盛り上げていきたいと思っております。

私からは以上になります。ご静聴ありがとうございました。

 

福岡移住でキャリアアップを実現する方法は?

 

吉川 続きまして石井スポーツのプレゼンテーションに移らせていただきます。株式会社ICI石井スポーツ代表取締役 荒川勉様、どうぞよろしくお願い致します。
荒川 皆さん初めまして、株式会社ICI石井スポーツの荒川勉と申します。どうぞよろしくお願いします。

石井スポーツの掲げるビジョン・ミッション・バリュー、こういうものをご案内しながら、話を進めていきたいと思います。

当社のビジョンは、「アウトドア活動をする多くの人に自然との触れ合いから心の豊かさを満たす世の中にすること」です。そのビジョン実現のためのミッションとして、アウトドアを通じて感動や喜びを一人でも多くの人に感じてもらい、世の中を幸せにすることが、我々の務めであると考えております。

しかし当社は情報通信技術分野の知識や人材不足の背景から、我々の力だけでは実現できない企画やコミュニティを持ちづらい年代の方々がいるなどの課題を抱いております。例えば、お客様とのコミュニケーションをとる手段はチラシやDMが主体で、メールやアプリといったチャネルを取る手段はなかなか十分に活用できていないという状況です。

また、山に行くと若い登山者、スキーヤーが多くいるにも関わらず、我々の売上構成では若い世代が多くありません。それは弊社の売り上げが十分に取れてないといった話ではなく、感動や喜びを一人でも多くの人に感じてもらいたいというICI石井スポーツが掲げるミッションが全うできないという課題意識でもあります。

もちろん社内でのデジタル化やマーケティングを推進する、新しい顧客層に向けたサービスを提供する部署は設立していますが、これも少しずつではありますが順調に進んでいます。しかし、このデジタルマーケティングの世界のスピード感は専門家ではない我々の力だけでは到底ついていけるものではございません。石井スポーツがヤマップさんと連携することを決断したのは、ヤマップさんと一緒であればこの課題を解決できると考えたからです。

ヤマップさんのテクノロジーや春山社長をはじめとした若い力とICI石井スポーツが積み重ねてきた経験、歴史、そして弊社をご愛顧いただいているお客様と融合することで、より多くの方々に山を楽しんで頂けるようなサービスを、スピード感をもって提供でき、これまで以上に山を盛り上げていけると確信したからです。ヤマップさんの成長を支持していきます。

具体的な取り組みとしては、ヤマップ会員と弊社会員の連携、EC基盤の共通化、共同でのイベント立案などを検討しています。ヤマップユーザーの皆様に特別なサービスを行うことも今後増えていくと思います。

まずは弊社が来週から開始する「岳人祭」というキャンペーンで、ヤマップ会員様向けのキャンペーンを企画しております。また、来月5月11〜12日、有楽町の交通会館で行う弊社のイベント「山小屋サミット」においても、山小屋への安全登山の啓蒙活動、山小屋の情報の配信など、ヤマップと山小屋さんの橋渡しをしていきたいと思っております。

またヤマップさんが企画した商品を、弊社での店頭販売などで取り扱っていく予定です。いろんな施策の可能性を感じています。すでに両社でプロジェクトチームを組織し、執行の検討に入っております。その中でまだ構想段階ではありますが、ヤマップのユーザーと弊社会員を融合し、新しい価値、コミュニティを形成していくことが最も重要な使命だと考えています。我々自身がそのような構想を実現していくことを本当に楽しみにしています。

私自身も山に登りますので、ヤマップと登山の良さを多くの方に伝えていきたいと思っています。人は、仕事のことや人間関係など色々な悩みを持っています。山に登ると不思議と頭の中がリセットされ、悩んでいたことが登山中は集中して忘れてしまいます。苦しい、辛い、もうだめだと思いながらも、もう少し、あと少し、あそこまで登ろうとか、あの山まで登ったら休もうとか、一歩ずつ歩きながら自分に言い聞かせます。ふと周りを見ると、色鮮やかな樹木や花、鳥など、自然を五感で感じます。

登っている時は辛くても、また登りたくなる、また行きたくなるのは、自然への好奇心からか、自分へのチャレンジからか、理由ははっきりしませんが、ただ本当に私は山が好きだとはっきり言えます。そんな山や自然への思いを、ヤマップさんと一緒に伝えていきたいと思っております。

繰り返しになりますが、ヤマップとICI石井スポーツが山で活動する全ての人に感動や喜びを感じてもらうために、業界・社内常識にとらわれずに進んで参ります。春山社長としっかりお互いの力を尊重し協力することで、このミッションをスピード感をもって着実に現実にして参ります。山での遭難事故などが少なくなり、より安全に登山を勧めてまいりたいと思っております。今後ともヤマップ、ICI石井スポーツをどうぞよろしくお願いいたします。

吉川 荒川社長様、ありがとうございました。
これにて本日の記者会見を終わらせていただきます。ご参加いただき、誠にありがとうございました。

 

ヤマップをもっと詳しく知りたい方へ

登山中の位置情報確認アプリとして始まったヤマップは、登山の記録やSNS機能が追加されたコミュニティサービスへと進化してきた。今回の大型資金調達を受けて、さらなる会員基盤の拡大と、石井スポーツとの協業によるEC事業も展開していくとのこと。

テクノロジーで都市と自然をつなぐことをミッションに掲げたヤマップへの参画に興味を持って頂けた方は、ぜひ春山氏のインタビューやヤマップの求人情報についてもご覧頂けると幸いだ。

 

「総額12億円の資金調達、経営者としての覚悟」株式会社ヤマップ春山社長(1)

「総額12億円の資金調達、経営者としての覚悟」株式会社ヤマップ春山社長インタビュー

 

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著者プロフィール

中村 義之
株式会社YOUTURN代表。地方のアセットを活かして持続可能なライフスタイルとイノベーションを生みだすための起業インフラを創出中。メイン事業はU・Iターン特化の転職エージェント。地方のスタートアップで活躍したい人材募集中。