福岡のベンチャーが地方創生を手がける意義とは

前回の記事『キャリアも生活の質も高めるなら福岡!社会課題を解決する福岡のベンチャー企業で注目すべき6領域』では、「なぜ日本の社会課題を解決するには福岡から」なのか、そして注目すべき6領域についてご紹介しました。

今回はその各6領域の中でも「地方創生」領域でユニークかつ、魅力的な事業を行っている成長めざましい3社にスポットをあてます。

なぜ各社は福岡で「地方創生」事業を営むのか?

それは、地方課題が身近にあるからです。前回の記事で述べたように、福岡をはじめとした地方都市では、急速に進む高齢化、商店街の衰退、財源不足などなど……。東京ではあまり感じられませんが、地方が直面している課題が目前にあります。そのため、地方で起業するにあたり「そのような身近で切実な課題を解決したい」と地方創生領域を事業ミッションに選択することは自然な成り行きとも言えるでしょう。

では、すでにベンチャー業界のエコシステムが成立している東京ではなく、あえて「まだ未成熟な部分もある」福岡で起業するとしたら、読者の皆さんはどういった事業を手がけられるでしょうか?

私は、東京のベンチャー企業がアクセスしづらい「地方のアセットやリソース」を活用すべきだと考えています。

地方ではまだまだITなどのテクノロジーによって合理化されていない、東京のITベンチャー企業からみると「手つかず」の領域が残っています。一方で、そのようなレガシーな領域は、「効率が悪い」分野に思えます。しかし、地方発のベンチャー企業にとっては、それがある意味でチャンスになります。

これだけ通信インフラが高度化して、日本国内どこでもネットがつながる環境になっている状況でも、旧来型の産業にテクノロジーでイノベーションを起こすハードルは低くありません。

なぜなら、地方に行くほど保守的な傾向は強まりますし、ときにウェットなコミュニケーションが求められることも多い。これは東京での戦いと異なると言えるでしょう。

ですが一方で、そこを突破できれば競合に対して参入障壁を築けます。更に、マーケットが大きければ事業のスケーラビリティも期待できるのです。

YOUTURNは、東京のプロ人材と福岡のベンチャー企業をつなげる事業を展開していますが、この「地方資源を活用して地方創生を実現する」領域の事業に注目しています。
 
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福岡の地方創生ベンチャー#1

「自治体の財源確保で新たな価値を創造する!」株式会社ホープ

どんな事業をやってる?

地方創生ベンチャー、1社目は株式会社ホープです。2016年に東証マザーズに上場を果たした福岡を代表するベンチャー企業なのでご存知の方も多いかもしれません。

その事業内容は非常にユニークで、社会性と公共性が非常に強いです。地方自治体のパンフレットや、庁舎内やWEBページ等の自治体が所有する遊休スペースを広告枠として活用して、地場の企業へ広告販売し、その売上を自治体の「財源」として提供するという事業です。

 

どんな経営者が経営している?

ホープ社は、代表取締役兼CEOの時津 孝康氏が2005年に創業。今でこそ福岡はスタートアップ都市として起業家が増えていますが、創業当時はそういったコミュニティが形成されていない中で創業11年で上場を果たした、時津氏の経営手腕には驚きを隠せません。

時津氏の第一印象は、非常にパワフルであり、一方で非常に謙虚。B2G営業(※1)という特殊な領域でゼロから信頼を勝ち得てきただけあって、情熱と誠意を同時に感じられるまさに骨太な経営者です。また、この人の下でなら伸び伸びと働けそうだなと思わせる懐の広さもお持ちです。

※1……Business to Governmentの略。政府や自治体向け事業

 

経営目標と経営課題

当面の経営目標は2022年に100億円の売上を達成すること。同社の考えでは「売上は顧客のありがとうの総和」として、売上の伸びに対して強いこだわりがあります。2018年6月期の同社の売上実績は前期比28%増の約23億円。電力販売などの新規事業にも注力していて、更に成長を加速しています。

一方で目下の経営課題は、主に3つ。「昨年まで種を撒いてきた新規事業を収益の柱として拡大すること」、「既存事業の生産性の向上」そして「ミドルマネジメント層の育成」です。

裏を返せば、これら3つの経営課題さえ解決できれば売上100億円は十分狙える目標だと感じます。

 

どんな人材が活躍できるか?

同社は昨年度、大幅な人員採用を実施。社員数100名ほどだった組織が倍の200名近くまで急速に拡大しました。こうした拡大期フェイズを支える組織をつくっていくため、上場後の経営の多角化など企業組織や事業を俯瞰的な視点から捉えマネジメントできる経営人材を募集中です。

当面の売上100億円という目標、またその後の成長を実現していくためには、新規事業を大きく育てていくことも必須です。すでにゼロからイチをつくっていく段階は越えたようなので、その種を大きくしていくことができるオペレーションに強い人材も活躍できるはずです。

ホープ社の特徴は、創業期から新卒社員を採用し自社で育て上げているなど、ビジョンが会社全体に浸透しており強固な企業カルチャーが醸成できていることです。

一方で、中途社員の割合が比較的低いため、様々なバックグラウンドで成功体験を持った方をホープ社は切望しています。

 

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ホープ代表時津氏インタビュー

 

福岡の地方創生ベンチャー#2

「テクノロジーで都市と自然をつなげる!」株式会社ヤマップ

どんな事業をやってる?

株式会社ヤマップは、テクノロジーで都市と自然をつなげることをミッションとして、安心安全に登山・アウトドアを楽しめる仕組みづくりを行っているベンチャー企業です。

地方の産業を再生させる鍵は「地方にしかないアセット」つまり「自然」というレジャー・観光資源をいかに活用できるかにかかっていると言っても過言ではないと思います。

同社は主たるサービスとして、携帯の電波が届かない山の中でもスマートフォンにて現在位置が確認できる「YAMAP(ヤマップ)」を提供しており、堀江貴文氏もその利便性を評価しています。

どんな経営者が経営している?

ヤマップを率いるのは代表取締役の春山 慶彦氏です。春山氏の人となりを一言で表現すると、まさに「思想家」。その経営理念に通底するのは、人と自然の関係性や、生き方・人生観など深い思索の末、春山氏が築き上げていった哲学です。

春山氏と一度でも会話をすれば、きっと彼の深い世界観が伝わってくることでしょういただ。ご興味をお持ちの方はぜひYOUTURNにお問い合わせください。
あわせて、下記のインタビューもお読みいただけるとさらにヤマップと春山氏の魅力がわかるかと思います。

 

■株式会社ヤマップ代表 春山慶彦氏インタビュー「総額12億円の資金調達、経営者としての覚悟」

 

経営目標と経営課題

今年2018年4月に総額12億円の大型調達を実施した同社は、株式上場を「当然の通過点」と設定。自然・登山・アウトドア領域を軸にして、将来的には観光領域にも事業を広げていく計画を立てている。

上場するにあたって収益化は当然大きな課題になるはずですが、アプリユーザーへの個人課金は、スケールできるほどのボリュームが期待できないため「戦略としては取り得ない」とのこと。そのため、アウトドア用品の開発や、ガイド・ツアーマッチングなど、リアル領域まで踏み込んで収益化を果たす必要がある。いかに「収益性が高くスケールするモデルを構築できるか」が今後の課題になるでしょう。

どんな人材が活躍できるか?

当面はマネタイズよりも「サービスづくり」、「コミュニティづくり」に重きを置いているため、ネイティブアプリの開発やグロースハック、UI/UXの知見をもったエンジニアが大いに活躍できるフェイズ。一方で、今後の収益化に向けて、セールスやマーケティングも強化していくはずなのので、そういった職種のビジネスパーソンにも大きなチャンスがありますね。

また、春山氏によると「やりがい」と「生きがい」を同時に追求できるのが地方。「会社のために働く」のではなく、自身のやりたいこととヤマップのビジョンが重なる人とぜひ一緒に働きたいとのこと。ヤマップの経営理念や事業内容にグッとくる方は、ぜひ一度話を聞いてみることをオススメします。

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ヤマップ代表春山氏インタビュー

 

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福岡の地方創生ベンチャー#3

「テクノロジー×デザインで釣りをやさしく!」ウミーベ株式会社

どんな事業をやってる?

ウミーベ株式会社は、福岡市の郊外、まさに「海辺」にオフィスを構えるスタートアップです。「釣り」とは縁遠い人にはピンとこないかもしれませんが、実は釣り人口はアウトドアレジャーでトップクラス。ただ、釣りは必要な道具や知識が膨大で、初心者にやさしくないレジャーでもありました。

ウミーベは、釣果を共有する釣り場アプリ「ツリバカメラ」や、釣りのノウハウなどを発信するメディア「ツリホウ(釣報)」を運営。釣りを、初心者にもやさしくすることで、釣り市場の裾野を広げています。ヤマップと同様、レジャー領域のスタートアップ。「釣り」を通して人を都会から地方に連れいていく事業モデルは、地方創生にとって大きなヒントになるものです。

どんな経営者が経営している?

ウミーベを経営するのは連続起業家のカズワタベ氏。福岡出身ではないワタベ氏が、次なる起業の場所として福岡を選んだ理由はまさに「住みやすさ」。釣り事業を展開する会社のオフィスは海辺にしたいということで、オーシャンビューのオフィスに入居中。

釣り好きでなくてもたまらない最高の環境のオフィスに加えて、釣った魚をメンバーで調理してランチで食す「ウミーベ食堂」など、元ミュージシャンだけあって発想力に富んだ経営が魅力的。事業内容と職場環境、福利厚生などが1つの世界観で構成されています。

経営目標と経営課題

同社は、複数のベンチャーキャピタルから資金調達を実施しており、上場を目指して順調に業容を拡大。ユーザーの月額課金モデル、釣具メーカーからの広告出稿などのサービスを展開しています。また、釣り人の「手の魚臭さ」という悩みを解消するために「フィッシュソープ」というハンドソープなどの商品開発にも積極的にチャレンジ中。

その後、今年8月にクックパッドにウミーベの売却が成立。連続起業家のワタベ氏としては、起業から4年後のイグジットとなり、ワタベ氏はクックパッドで新規事業を担当していくことになりました。筆者はこのバイアウトをとても前向きにとらえています。上場だけがエクイティ調達後のイグジット先ではないという、他の起業家の参考になればと思います。

筆者はクックパッドへのバイアウトが成立する前後に久しぶりにワタベ氏とお会いしましたが、クックパッドグループになったとしても引き続きアプリの改善とコミュニティづくりに注力する戦略は変わらない、とのことでした。

どんな人材が活躍できるか?

同社のメンバーには元々「釣り好き」が多いようですが、釣り初心者でも問題ないとのこと。スタートアップで働きたい、コンシューマー向けサービスを手がけたい、という方からのエントリーも歓迎しています。

ネイティブアプリを軸とした事業展開。iOS、Androidエンジニアを始め、サーバーサイドエンジニアやウェブ・アプリのグロースハックを経験したディレクターなどが活躍できる環境です。

クックパッドグループに入ったことにより、どんなシナジーが生まれるか楽しみなウミーベ。クックパッドの強みである、コミュニティ運営のノウハウなども共有されていくでしょうから、多くのチャンスや成長機会が見込めるようになってきました。

 

■関連リンク

ウミーベの求人情報

ウミーベ代表ワタベ氏インタビュー

 

「地方でやるべき事業」だからこそおもしろい

東京でもできる事業を地方で展開することも、コストメリットの観点では正解かもしれません。ただ、どうしてもヒト・モノ・カネの絶対量は東京が群を抜いているので、東京でもやれる事業は東京でやるほうが成功確率が高いかもしれない。

一方で、地方で事業を起こして全国、世界を相手に勝負するのであれば、その土地でやることの優位性があるべきでしょう。その意味で、今回ご紹介した3社は「地方でこそやるべき事業」を展開している点がおもしろいと考えています。

財源確保に必死な自治体は地方にこそ多い。そういった自治体が身近にあるからこそホープ社の事業機会は多いはず。また、ヤマップやウミーベは、「自然」という地方に潤沢にある「経営リソース」を活用して地方の産業を盛り上げようと取り組んでいます。

3社ともにまだまだ伸びしろのある事業を展開していて、そこに東京で経験を積んだビジネスパーソンがジョインすることで成長のスピードが飛躍したらおもしろい。そんなチャンスにワクワクする方はぜひエントリーしてみてほしいと思います。

 

福岡のベンチャー企業で注目すべき6領域

 

【1】「地方でやるべき事業」だからおもしろい! 福岡から地方創生を実現するスタートアップ3選(本稿)

【2】テクノロジーで新たな社会システムを創出する福岡のテックベンチャー

【3】次世代の「子育て・教育」の仕組みをつくる福岡のベンチャー企業

【4】人生100年時代に「医療・健康」を支えるイノベイティブな福岡発ベンチャー3選

【5】待ったなしの超高齢化社会で「介護・高齢者問題」を地方から解決する福岡のベンチャー企業

【6】地方ベンチャーの活路はグローバルにある!世界を狙う福岡のベンチャー企業

著者プロフィール

中村 義之
株式会社YOUTURN代表。地方のアセットを活かして持続可能なライフスタイルとイノベーションを生みだすための起業インフラを創出中。メイン事業はU・Iターン特化の転職エージェント。地方のスタートアップで活躍したい人材募集中。