スタートアップ都市宣言から6年が経ち、福岡で起業する人の数は着実に増えています。ただ、スタートアップが本当の意味で成功するには、東京などの大都市圏で経験を積んだ優秀なブレーンが欠かせません。競争の激しい環境でしっかりキャリアを築いてきた人の力があってこそ、スタートアップの芽は大樹へと育ちます。

今回は「福岡で叶えるエグゼクティブ転職」をテーマに、株式会社グッドラックスリー取締役の畑村 匡章さんをお招きして11月7日(水)に開催したイベントの模様をお届けします。

畑村氏はDeNAでモバゲーの立ち上げを担当した後、スクウェア・エニックスなどを経て、2018年3月に福岡へ移住。仮想通過のブロックチェーンを企画・開発しているグッドラックスリー社の取締役として活躍されています。

いくつもの会社で上場を経験した正真正銘のエグゼクティブである畑村氏が、なぜ福岡での転職を決断したのか、これまで築いてきたキャリアや年収に対する危惧はなかったのか、実際に移住してみて移住前のイメージとギャップを感じているのか、詳しくお話を伺いました。

 

※畑村氏が福岡移住を決めた詳細のストーリーはこちらも合わせて御覧ください。

『モバゲーを立ち上げた男はなぜ福岡移住を決断したのか?ポジションも給料も捨てず生活の質を向上させる選択』
 

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<スピーカー>
◇畑村 匡章氏
株式会社グッドラックスリー 取締役
株式会社ディー・エヌ・エーにてモバゲータウンを構想して立ち上げる。
ブロックチェーンの研究をすすめる中で、現在グッドラックスリーで開発中のブロックチェーン技術を利用したメディアをエンパワーする報酬システム『RAKUN』(旧サービス名:LuckyMe)の着想を得る。ブロックチェーン分野の開発運営、研究開発を推進する。

<モデレーター>
◇中村 義之
株式会社YOUTURN 代表取締役
2010年(株)みんなのウェディングに取締役として創業に参画。2014年、事業本部長として会社設立から3年半で東証マザーズに上場。2016年、株式会社YOUTURNを創業。人材、農業、ヘルスケアなど幅広い事業を立ち上げ中。

◇高尾 大輔
ベンチャー企業の幹部採用支援に特化したプロコミットにてコンサルタント、事業責任者を務める。2018年、株式会社YOUTURNにキャリアコンサルタントとして参画。(国家資格キャリアコンサルタント)

 

福岡移住を決断するまで

―まず、畑村さんが福岡への移住を決めるまでのストーリーを教えてください。

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▲株式会社グッドラックスリー 取締役 畑村 匡章氏

畑村 匡章氏(以下、畑村):出身は大阪の岸和田市です。京都の大学を卒業した後、東京へ出て通信サービス会社の営業として就職しました。

当時はインターネット黎明期。就職した会社も「通信で革命を起こす」と息巻いていたんですが、実際に営業として仕事をしてみると、BtoBのセールスは自分の肌に合わなかったんですね。それでもともと、コンテンツの方に興味があったこともあり、iモード向けのゲームコンテンツを開発している会社を経て、DeNAへ転職しました。

 

―DeNAではモバゲーの起ち上げを担当されたんですよね?

畑村:最初に配属になったのは現社長の守安さん(※株式会社ディー・エヌ・エー代表取締役 守安功氏)の部署で、担当領域はモバオクでした。そこから1年くらい経って新規事業の話が出た時に「ゲームやったことあるよね?」と。それで担当になりました。

モバゲーについては正直なところ、自分の実力以上に当たったと思っています。ソーシャルゲームが伸び盛りの頃だったので、会員の数は一気に100万人を突破して、最初3人で始めたサービスが200人規模の組織になりました。それで、この規模の人員をマネジメントして次のステージに持っていくのは自分には不向きだと感じるようになって、守安さんに交代を申し出たんです。

その次に担当したのが、ソーシャルゲームの海外事業。アメリカの市場ではうまくいかなかったんですが、アメリカで買収した会社の事業を中国に持ち込んだところ、それが成功してDeNAチャイナの土台をつくることができました。

今思うと、中国の経験は自分の生き方や働き方を見直すいい機会になったと思います。ひと言でいえば景色が変わったというか。たとえば、中国人は会社への忠誠心なんて全然ないし、春節の休暇から会社に戻ってこなかったりする(笑)。そういうのを見ると「今までの日本での自分は何だったんだろう…?」と。

 

―地方への移住を考え始める契機になったんですね。その後のキャリアは?

畑村:もともとゲームが好きなのにゲーム会社で働いたことがなかったので、当時社長だった和田さんからお誘いを頂いたこともあって、スクウェア・エニックスへ転職しました。

スクウェア・エニックスではソーシャルゲームの組織づくりを3年間担当して、その時点で「大きな会社でやりたいことはできた」という実感がありました。それで新宿に小さな会社を起ち上げたんですが、ちょうどその頃と前後して今の会社の井上(株式会社グッドラックスリー代表取締役社長 井上和久)と知り合い、いろいろなタイミングが重なって、福岡への移住へとつながりました。最初に移住を考え始めてからは3年くらいの期間がありましたね。

 

福岡へ移住するうえでのボトルネック

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▲株式会社YOUTURN代表 中村 義之

 

―実際に福岡へ移住して新しいキャリアを始めるにあたって、ボトルネックとして考えていたことはありますか?

畑村:まずはやはり年収です。たとえば東京ではソーシャルゲームがヒットし始めた頃、エンジニアの年収が1,000万~2,000万円というのは普通でしたが、福岡にそんな会社はありません。

福岡で2,000万円というと、それなりに成功している会社の社長の年収くらいでしょうか。東京と比べれば家賃が安いとはいえ、それまでの生活水準を維持できるのか不安でした。

あとは地理的な条件の部分ですね。IT業界は人とのつながりが大事なので、東京から離れてしまうことに対してもやや不安がありました。

ただ、この点については移住して約半年経った今の時点ではそれほど不自由は感じていません。

離れていてもFacebookでいつでも連絡はとれるし、福岡は中心部から空港まで近いうえ、東京へのフライトも2時間程度なので、たとえば茨城から東京へ出たりするより時間がかからないからです。役員なのである程度自由にやらせてもらっているというのもありますが。

 

―年収については、東京にいた頃と同じという訳にはいかなかったと思います。そのうえで福岡への移住を決断したのは、やはりチャレンジだったのではないですか?

畑村:チャレンジということで言えば、スクウェア・エニックスを辞めた時からずっとチャレンジですね。当時と比べれば年収も大幅に下がっていますし。ただ、それでも長期スパンで考えると大企業にずっと居続けるのは自分には向いてないと思っていました。

会社が大きくなってくるとポリシーが合わなくなってくることもありますし、ただ年収を維持するためだけにそれを無理して飲み込むのはむなしいと。上海での経験でまったく違う働き方があるのはわかっていたし、たとえ小さな会社でも役員であれば経営方針やお金の面も含めていろいろコントロールできます。

そういった意味では、自分の働き方や生き方をしっかり考えたうえで大企業に頼らずにやっていくというのがわたしなりのチャレンジなのかもしれません。

 

助走期間があったからこそ決断できた

―ここからは福岡への移住・転職を考えているエグゼクティブにとってより具体的なヒントになるお話を伺えればと思います。

先ほどグッドラックスリーの井上さんと知り合ってから福岡への移住を決めるまでに3年くらいの期間があったとおっしゃっていましたが、その間どういった準備をされていたんですか?

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▲畑村氏の話を真剣に聞き入る参加者。

 

畑村:福岡の妻の実家へ帰省するたびに毎回時間をとって井上と食事をしていました。具体的に移住に向けて相談するというよりは、「最近どう?」「それおもしろそうだね」といった普通の会話ですね。そうした会話のなかでブロックチェーンの話題が出て、わたしも次にやるならブロックチェーンだなと思っていました。

転機になったのは去年の8月。やはり帰省した時なんですが、井上から「始めよう」と具体的な話があって、ある程度のビジョンが見えたのでジョインすることにしたんです。

ただ、向こうからすれば僕はずっと大企業にいた人間だし、僕からすればグッドラックスリーはやはり小さな会社。お互いに怖い部分もあったので、最初は業務委託からということで、当時役員を務めていた新宿の会社の仕事をしつつ、週2~3日、ICO(Initial Coin Offering)のドキュメントをつくるための仕事を始めました。

 

―業務委託で仕事を始めた時点で福岡へ移住してグッドラックスリーさんに入社することは決めていたんですか?

畑村:いや、その時点ではまだ決めていませんでした。ただ、一緒に仕事をしていくうちに、お互いのフィーリングが合うのが分かったし、僕の仕事に対する考え方も理解してもらえました。変な言い方にはなりますが、最悪会社がつぶれたとしてもこの人たちを恨むことはないな、と。それで去年の年末くらいに翌2月から役員として正式に参画することに決めたんです。

 

―報酬についてはどのようにすり合わせたんですか?

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▲(右)株式会社YOUTURNキャリアコンサルタント 高尾 大輔

畑村:最初からこれだけは譲れないという最低限の年収ラインは伝えていました。一時的に給与額が下がるのは構わないけど、最終的にはより大きなリターンが欲しいと。それで、ブロックチェーンの事業が軌道に乗ればインセンティブや会社の株、あるいは仮想通過でリターンが得られるという確信が得られたので決断しました。

 

―業務委託としての助走期間があったからこそ、お互いの仕事に対する考え方も確かめられたし、報酬についての認識も合わせることができたと。

畑村:その通りですね。そういう意味では結構慎重に、堅く行った、と言えるのかもしれません。僕の場合、家族もいるので、ただ面接を受けて「じゃあ来てください」ではやはり怖い部分があります。業務委託で仕事ができる会社で、約6ヵ月の助走期間があったからこそ踏み切れたんだと思います。

 

(まとめ)

この後も当日参加したメンバーから「福岡で仕事をする具体的なメリットは?」「福岡の企業はグローバル志向が強いと聞くが、実態は?」といった質問が相次ぎ、大きく盛り上がりました。エグゼクティブとして福岡でさらなるキャリアアップを目指す方にはとても有意義な場になったのではないでしょうか。

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▲イベント後の懇親会の様子

 

YOUTURNは今後もこのような取り組みを通じて、福岡で働きたい方、福岡で起業したい方を全力サポートしていきます!
 
 

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著者プロフィール

YOUTURN編集部
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