社会人として、自分自身のキャリアに悩む瞬間は誰しも訪れるもの。順調にキャリアを積み重ねているように見えている人材でも、心のどこかでは自身の将来に対する不安を抱いているかもしれません。

 

特に印象的なのは、商社で働くビジネスパーソンのキャリアの捉え方。ばりばり働くイメージを持たれがちな裏側で、意外なことに自身の市場価値に自信を持てない人も少なくありません。

 

そこで、YOUTURNでは商社パーソン向けのキャリア講義を開催。キャリアコンサルタントの高尾大輔と参加者である商社パーソンとの語り合いで自身の市場価値やキャリアアップなどについて考えます。

 

イベントルポ後半となる本記事では、前半で解説したキャリア論をより深掘りし、自己実現に向けた解を探ります。高尾の解説や参加者の様子を交えてお届けします!
 

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15ステップで見る「自己実現とは何か?」

 

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前半に引き続き、後半は参加者に対するインプットの時間として、高尾が開発したキャリア論のスキーム「自己実現を叶える『15ステップ』~新設『Will-Can-Must』論~」の講義を行いました。
ここでその一部を特別に公開します!

 

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▲高尾作成の『自己実現を叶える「15ステップ」』スライドより一部抜粋(以下、使用スライド同様)

 

自己実現というと、誰しも耳慣れた言葉のはず。参加者からも「自己実現とは、自分が”こう生きたい”と思える生き方のことですよね」と意見がありました。

 

そこで高尾は言います。
自己実現はとても大事であると同時に、思考停止を導く怖いワードでもあります。自己実現を果たすために、大切なのは『自己実現を叶えるためのステップ』を知ることなんです」

 

そのためにおさえるべきものが2つあると高尾は指摘。
1つは「マズローの5段階の欲求段階」。
2つ目は「それに伴うキャリア形成におけるWill、Can、Mustとの関係」
です。

 

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マズローの欲求5段階説は人間の欲求を5段階の階層で理論化したもの。最下層の「生理的欲求」から始まり、「安全欲求」「社会的欲求」「尊厳欲求」「自己実現欲求」と、下位の欲求を満たすことで上位の欲求へと上がっていくという流れです。

 

自己実現を叶えるためには、まず下層4つを満たす必要がありますが、これをビジネスのキャリアに当てはめ、Will-Can-Mustをクリアすることで自己実現にたどり着くとしたのが、高尾が考案した、15ステップの新説「Will-Can-Must」論

 

この手順を踏むことで自己実現への道が、自然と広がるというわけです。

 

高尾「生きていく、食べていくというのは生理的欲求で、それが満たされると安全を確保する欲求が生まれ、次は何かに属したいという社会的欲求。そのなかで評価されたいという尊厳欲求、さらには周りから認められて自分がやりたいことができる自己実現欲求が満たされていきます。尊厳欲求から下の4つは欠乏欲求と言われ、満たされていない場合はそれを満たそうとする習性が人間にはあります」

 

一方で「Will、Can、Must」理論はキャリアを考える上での自己分析のツールとしてよく使われる考え方。その3つが重なったところが『生きがい』であり『重なるところを見つけなさい』と、世間では言われています。

 

「しかし」と高尾は言います。
もともとWillがある人は構いませんが、実際は見つけられなくて困っている人はたくさんいますよね。そこで、私が整理したキャリア論では、15のステップを通じてWill-Can-Mustを明確にしつつ欲求を満たす条件をクリアし、生きがい=自己実現を果たすのが狙いなんです」

 

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いくつかエッセンスを紹介しましょう。例えば、ステップ1は「まずは目の前の『Must』に向き合い、取り組む」というもの。

 

高尾「先ほどのクレーム処理のように『やりたくないけれど会社から言われたので、成果を出さないといけない』ことってたくさんありますよね。

 

これこそMustですね。ただ嫌だなとネガティブなところに目を向けず、前向きにとらえしっかりとそれと向き合い取り組めば『間違いなくクレーム処理ができる自分』には成長できるわけです。すなわち、Mustに懸命に取り組むことで、Canが生み出されます」

 

さらに、Mustのなかに生まれたCanを増幅させ、Canを発揮する範囲をMustの外に広げることで、Canの再現可能性を自覚できると「遠くにWillらしきものが生まれる」とも。

 

高尾「たとえば、皆さん商社パーソンが持っている調整力。今日のような場に参加することで客観的に知ることもありますし、ボランティアに参加してみて気づくこともあるでしょう。自分にとっては普通だと思っていたことが、周りから『スゴイ!』と言われて気づくこともあります。。そこで初めて、再現が可能だと自覚できます。

 

それはMustの外に広げることでCanの再現性を見つけた、ということ。ですから、積極的に“外に力を試しに行く”というのは、転職に関係なくチャレンジしたほうがいいと思います」

 

また、高尾はこうして見えてきた「Willのタネ」を膨らませることが肝心と説きます。

 

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高尾「これがステップ6の段階です。MustとCanが重なる日常に生まれたWillのタネを膨らませて、いまやっていることが将来の自分に役立つという接続をしていくのです。今回の参加者のなかには商社で事業の立ち上げを経験し、今後は地方でそういったことに困っているベンチャーを支援したいと考えている、と聞きました。おそらく、その過程には事業の立ち上げでWillのタネが見つかり、膨らませた結果だと思います」

 

このように、Willのタネが成長すれば「自分ごと」になり、現実としての「Will-Can-Must」のイメージが出来上がる、というわけです。

 

もっとも、ここで終わりではありません。むしろここからが「究極の自己実現」に向けたキャリア本番のステップなのです。

 

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たとえば、ステップ10は「日常の『Can』と『Will』が色濃くなり、『Must』が薄らいでいく」という内容ですが……。
高尾Canが強化されていくとMustを意識しなくてもWillに向けて生きていけるようになってきます。登山で山頂に到達すると、また次の大きな山が見えるというように、到達した地点から新たな景色が見え始めます。Canを大きくし、新たな景色が見え始めることでWillのイメージもまた大きく、色濃くなってきます。」

 

そして、最終的には成長とやりがいが無限ループしていく、自己実現の完成に至るというのが、15のステップのゴールです。

 

高尾「この状態になると、自分のやることなすことすべてが効いている、自己効力感に満たされるはず。ただし、WillとCanが一致すると成長領域が少なくなるので、Canの伸びしろをWillの無限拡大でつくり続けていくのが、自己実現を継続させるポイントです。

 

例えば、孫正義さんって最初に事業を始めたころから、いまのような状態になることを想像していたでしょうか。トヨタと提携するなんてことは予測していなかったかもしれません。それは、見える景色からさらに遠くを見ようとして、Willを広げ、Canを広げてきた先に実現したものではないでしょうか。みなさんも、イメージとして持ち、日常に当てはめてください」

 

参加者はそれぞれの現在の自己の状態と、このフレームを照らし合わせ、
Mustを意識しなくてよくなってきた
WillとCanが重なり始めた感じ」など、さまざまな実感を持てたようです。

Willのタネはわかりませんが、逆に『こうなりたくない』というイメージはあります」という答えに対しては、「それはとても大事で、やりたくないことを先にイメージすることで自分が進む方向が定まっていく、というアプローチの仕方もありですよ」とアドバイスしました。

 

15ステップの全貌を聞きたい!「いつかは福岡に……」と思いながらまだ決めきれない。実際に高尾にキャリア面談をしてほしい! という方はこちらから!

問われているのは「志」。

終盤、高尾は印象的なアドバイスを伝えていました。

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若いうちはポテンシャルで挑戦できるうちにCanを増やしておくこと。そして、身につけたCanで機会を得るなかでWillを見出し、見出したWillで自己の成長をドライブすると、年齢を重ねても挑戦する権利は減っていきません。そして、ここでもっとも重要なのは、30代半ばくらいからは、志や使命感・在り方といった部分でチャンスが得られるという点なんです」

 

世のエグゼクティブと言われる人たちはスキルではなく”在り方”を大事にしておられる方がすごく多いです

 

これって40代から育てても間に合わない。はやくから『この人の在り方は素敵だ』など、こうありたいと思える人たちと一緒に仕事をする機会を増やし、在り方を教えてくれる師匠を見つけることが大切なんです。

 

日本の偉人、吉田松陰があれだけ人を集め影響力を持ったか。スキルがあったからというよりも、やはり志や在り方に共感した人が多かったからだと思いますよ
と、高尾は参加者に呼びかけました。

 

こんな熱い呼びかけで、2時間にわたるイベントは終了。

 

参加者からは
「モヤモヤした気持ちが解消されました」

 

「自分がどのステージにいて、世間に出たときにどうなのかと客観的に見つめなおす機会になりました」

 

「同じ悩みを持つ同業者に会えて、人脈にもなったのも成果です」

 

「30歳近くになり、Willがあるところで仕事ができるかどうかが重要だと痛感しました」

 

「スキルだけではなく、人としての在り方などがじつは大事だと学びました」
など、多くの感想が飛び出しました。

 

高尾も「また集まり議論を交わし、位置を確かめ会いましょう」と呼びかけ、この日の催しは幕を下ろしたのです。

 

今後ともまた、別の形で開催されるであろう高尾の講演。次はぜひあなたもご参加ください!
 

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著者プロフィール

YOUTURN編集部
YOUTURN編集部
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