「複業研究家」西村創一朗さんのキャリア観を、YOUTURN代表・中村がじっくりと聞く今回のインタビュー企画。

これまでの第1部・第2部では、西村さんが19歳でパパになってから新卒でリクルートに入社、その後複業を始め、独立を決めるまでのストーリーをお伺いしてきました。

最終回の第3部では、西村さんが独立してから経験したことや、躁うつの発症を経て「今の自分」を認められるようになったことなどをお話いただきます。

「現代の最適解は、レールから外れてみること」という西村さんのキャリア観とは?そこには、転職や移住など、人生におけるさまざまな選択をするうえでのヒントがありました。

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フリーで働く不安を一人で背負いこんで、躁うつに

中村:独立してからもうすぐ3年経つんですね。あっという間でした?

西村:本当にあっという間ですね。3年前というと遠い昔のことのようにも思えますけど、体感としては一瞬だなと。

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▲(左)株式会社YOUTURN 代表取締役 中村 義之

中村:独立して一番良かったこと、一番しんどかったことは?

西村:良かったなと思うことは、独立した理由でもありますが、娘と過ごす時間が2倍か3倍ぐらいに増えたこと。基本4時くらいには仕事を切り上げて、明るいうちに家について、家族とご飯を食べてお風呂に入って。

結果どうなったかというと、娘が超パパっ子なんですよ! もうパパがいないと寝られないし、僕が「行ってきます」って言うと本気で泣くみたいな。

中村:ますます可愛いですね(笑)。

西村:ただ、大変だったこともいっぱいあって……。自由って自分が想像していたよりもずっと重たいんだなと。「働く時間や場所をすべて自分でデザインできる」というと聞こえはいいんですが、意思決定の一つひとつが、自分のメモリを奪うということでもあって。決められた時間・場所・仲間で働くことの負担が、いかに少ないのかということですよね。

あとはこちらの方が大きいんですが……。やっぱり、不安ですよね。会社員だとしても早期退職など不安はいろいろありますが、5年10年先が見えないということはないわけですよ。

でもフリーになると、今は良くても2年後3年後はどうなるか、オリンピックが終わると景気が悪くなると言われているけれど一気に仕事が来なくなるんじゃないかとか考えてしまう。

考えても仕方がないし、「こうすれば大丈夫!」という世界でもない。なのに、不安を全部一人で背負って一人で潰れて……。半年ぐらい全く身動きが取れなかった時期もありました。躁うつになってしまって。

中村:去年の冬ぐらいですか?

西村:全部で3回、辛い時期がありました。1回目は、2年前の11月から半年くらい。それが一番大きくて、最初のつまずきでした。2回目が去年の11月末から今年の3月ぐらいまで。そして3回目が、今年の夏です。7月から8月。

 

今を生きる、余白をつくる、人に頼る

中村:しんどいですね。どういう状態になっちゃうんですか。

西村:もう無気力です、何の気力もわかないです。朝起きたらこの世から自分がいなくなっていたら良いのに、と思ってしまって。

自由と引き換えに不安が大きくなって、そのプレッシャーや不安から仕事をたくさん引き受けて、その結果が忙殺されて潰れちゃうというパターンでした。

中村:辛い時期を3回経て、今またこうして活動できるような状態になっている。何かを変えたのでしょうか。

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▲株式会社HARES CEO/複業研究家 西村 創一朗氏

西村:1つ目は、「今を生きると決めた」ことですね。もちろん全く考えないわけではないですが、2年後3年後の未来を考えて不安になっても1ミリも得をしないから。

「今をよく生きることの積み重ね」でしか未来はよくならない。明日死ぬかもわからない。そう考えたら、先のことを考えるのはもうやめようと思って。これが、1回目の辛い時期に気づいたことです。

中村:なるほどね、大事だな……。

西村:2つ目は、「意図的に余白をつくる」ということですね 。

自分を守るために、あるいはいいパフォーマンスを出すためにこそ、仕事を意図的にブロックする枠をつくる。3回目の辛い時期が終わってからそうするようになり、うまくいっている実感があります。

3つ目は「仕事の選び方」かもしれないですね。それまでは大概のことは自分がやった方が早いと思って、例えば記事を書く作業なども自分でやっていたのですが、全部任せることにした。自分以外の人でもできることはやらない、自分が得意なことだけをやると決めたんです。

言い方を変えると、他人を頼ることができるようになったということかもしれないですね。

 

「今の自分」にOKを出せるようになるまで

中村:そんなふうに変わっていくのって、簡単なことじゃないと思うんです。自分のどんなこだわりやとらわれを手放したんですか?

西村:僕、本当に多動で、いろいろなアイデアが浮かぶしやりたいことが出てくる。今までは心のままに、全部やってたんですよ。でも今は、その「やりたい気持ち」をいかにセーブするかと考えていますね。

中村:やりたい気持ちを手放している。

西村:手放してますね。この境地に至ったのは割と最近なんですが、「2022年の3月まではゆるく働く、その範囲でしかできることをやらない」って決めたんですよ。

今やりたいことは常に変わる。2年後、そのときにやりたいことができていればそれでいいじゃんと思うようにして。

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中村:「2022年3月まで」というのは何かあるんですか。

西村:娘が小学校に上がるのが2022年の3月なので、小学校に上がるまではゆるやかな働き方をしようと。そういう意思決定です。

中村:西村さんは今の自分にOKを出せるようになったんじゃないでしょうか。

西村:そうかもしれないですね。これまでは「理想の自分」に対する「今の自分」を評価していた。それが、ありのままの今の自分を認められるように、それでいいかって思えるようになったんだと思います。

中村:ありのままの自分を認められるようになった一番の原因って何ですか?

西村:3回潰れて回復してを繰り返すなかで、最大の真因に気づいたんですよね。理想主義・相対主義が、自分自身を苦しめているのだと。そのとらわれを解くことが、結果的に家族をはじめとする周りの人にハッピーをもたらすのだということにも気がつきました。

中村:今の西村さんは、より自然体な感じがします。

西村:超自然体ですね。今は本当に、憂うつな仕事はひとつもないので。

中村:そういう仕事は、受けない。

西村:受けないですね。分かりやすく単価がいい仕事って、それ相応にしんどいんですよ。
やろうと思えばできるし、短期的に見れば結構なキャッシュインになるからいいかもしれないけれど、やらない。

中村:新しい自分と出会って、人との付き合い方も変わりましたか?

西村:それはありますね。元々他人を評価をするほうではなかったですが、心のどこかで損得勘定でその人を見るようなところはあったと思うんです。それが、まったくなくなりました。

中村:自分自身の心理的安全性もあがったんじゃないですか。人に向けるベクトルって結局、自分に返ってくるので。

西村:そうですね。

 

選んだ道を正解にしていくことが人生

中村:会社にフルコミットしたあと、副業も独立もして、ダウンしちゃった時期もあり。

2回も3回も自分に対する価値観を見つめて決めてきた今、西村さんが思う「キャリア」って、どのように捉えていますか?

西村:僕自身の人生を見ても、いろいろな方のキャリアに寄り添うなかでも感じるんですが、生きることや人生のキャリアに「正解」ってなくて

たぶん、「正解を選ぶ」という前提自体が間違ってて、自分の選ぶ選択肢を自分で正解だと思えるように努力するしかないかなと、思うんですよね。

転職や副業、移住や結婚など何でもそうですが、人生の選択肢に正解はない。選んだ道を自分で正解にしていくことが、人生だと思うんです。

自分自身の納得が大切だと思います。他人から「あいつ終わったな」「なんでそんな選択したんだ」などと言われたとしても、自分がイエスだと思っていればそれが正解かなって。

中村:他者評価や社会的評価を基準にしないということですね。

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西村:本当に本質的なことを言うと、自分自身が正解・不正解を判断する必要性もない。

中村:常に自分に OKを 出せていれば、正しいとか間違いとかないですもんね。

西村:僕の場合、周りに迷惑をかけたのでそうも言い切れないですが、3回病気で倒れたことも今となっては必要な経験だった、今の自分の糧になったと思っています。あらゆることが必然というか、不正解すら正解というか。自分の心の持ちよう次第だなと思いますね。

 

キャリアに正解があるとしたら、レールから外れてみること

中村:「キャリアプラン」「キャリアパス」などとよくいいますが、ある意味一般的なキャリア論にとらわれる人って多いと思うんです。

たとえば東京はヒト・コト・モノのリソースが一番集約されているところなので、経済的・社会的に成功しやすいのだろうと。そういう意味では「正解」かもしれない。

でも、YOUTURNの記事を読んでいるのって、そういう一般的な「正解」から脱したい人だが多いと思うんです。西村さんだったら読者に、どのようなメッセージを伝えますか?

西村:バイアスを壊して考えてみてほしい、ということですね。

自分のなかに無意識な思い込みがあって、それによって自分の人生を歪めてしまっていることが、たくさんあると思っていて。

例えば、「一定の収入を稼ぐなら都心に住まなきゃいけない」みたいなバイアスがある。たしかに平均年収は地方のほうが低いかもしれないけれど、やりようによっては大きく変わらずに働く方法もある。収入が減ったとしても、コストが劇的に減ることで可処分所得は上がるということもある。

自分のなかのバイアスを一度取り除いて、ゼロべースで今とちがう働き方を想像してみる。そのなかで出てくる複業や移住という選択肢を、本気で考えてみる。

もし自分が福岡に移住したらどういう生活ができるのかとか、都心から歩いて帰れる家を家賃5万円で借りられるとか、シュミレーションしてみる。ちょっとお試し移住をしてみるのもありだし。

中村:あるいは期限を決めたうえで東京を離れてみることも、行ったり来たりすることもできますね。

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西村:そう、行ったきりではない。半年福岡で暮らして半年戻るといった暮らしもできるので。

中村:それが駄目だと言う人がいたとしても、そんなことを気にする必要はまったくないし。

西村:まさにまさに。これからの時代、最適解があるとすると「レールから外れること」かなと思っていて。

既存のレールの中で成功方法を考えるというよりは、レールの外で得たユニークな経験から編み出した成果が形になって、市場価値になって、自分のキャリアになっていくと思います。


キャリアや人生の何を正解とするかは、自分の心のありよう次第。

自分はどのような働き方を選択したいのか。西村さんの言うように自分のなかにあるバイアスを抑えて考えてみようとすると、自分で選ぶことへの迷いや不安もまた、現れてくるかもしれません。

 

1月25日(土)13:00より、西村創一朗さんとYOUTURN中村の対談イベントが行われます! テーマは、「キャリア観にあった働き方について熟考する」。この記事を読んで改めて自分自身のキャリア観や働き方を見つめ直したいと感じた方はぜひ、足を運んでみてくださいね。

 

イベント告知

 

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働き方改革が叫ばれる昨今。
副業や転職などがどんどん加速し柔軟な働き方が受け入れられる中で、
どうしてもつきまとう地方移住に対する「都落ち」感。

そんな中、
福岡移住はキャリアアップにどう繋がるのか?
東京でやり直すことはできるのか?
自分はどういうキャリア観なのか?

という部分に本イベントは深掘っていきます。

 

■申し込みはこちらから

https://youturnevent20200125.peatix.com/

 

 

 

著者プロフィール

YOUTURN編集部
株式会社YOUTURNは、首都圏でキャリアを積んだビジネスパーソンと、福岡で社会課題の解決に挑む企業とのマッチング事業を展開する会社です。スタートアップ都市として芽吹きつつある福岡のベンチャー企業、地場の優良企業への移住転職で、キャリアップとQOLの向上を実現してみませんか?