移住転職を検討するプロセスにおいて、自己理解は欠かせません。

福岡への移住転職はまだまだ「多くの人が選ばない道」であるからこそ、

 

なぜ自分は移住転職したいのか?

自分が求める生き方を手に入れる手段として「福岡移住転職」が本当に良い選択肢なのか?

 

を見つめていくことが重要ではないでしょうか。

 

YOUTURNが6月11日に開催したオンラインイベントでは、福岡移住・転職者の平田一茂さん(株式会社ジコウ代表)を特別ゲストに迎え、「自己理解」をテーマにお話を伺いました。

 

平田さんは神奈川県出身ですが、2020年10月にYOUTURNを通じて福岡にIターン転職し、2021年に糸島で株式会社ジコウを起業しました。

 

「成人発達理論」や「脳科学」を活用し、”理論的”自己理解を研究しているという平田さんのお話に加え、YOUTURNで数多くの移住・転職支援をおこなってきたキャリアコンサルタント・高尾とのクロストークの様子もお伝えします!

 

■ゲストプロフィール:

平田 一茂(ひらた かずしげ)さん

1991年神奈川県生まれ。早稲田大学社会科学部卒。

新卒で株式会社ベネッセコーポレーションに入社。

九州エリアの教育機関へのコンサルティング業務、教育関係者向け研修・講演実施多数。

2017年Indeed Japan株式会社に中途入社。

数百社の採用支援、大手企業向け営業組織の立ち上げを経験。

Reapra Japanにて、福岡オフィスを立ち上げ、起業家へのエクイティ投資・ハンズオン支援に従事。

2021年、「あらゆるおとながじぶん色の豊かさを探求できる社会を創る」をミッションに

株式会社ジコウ(https://jicou.jp/)を創業。

 

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価値観をアップデートさせる「成人発達理論」とは

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平田さんはベネッセで4年勤めた後、Indeedに転職し、企業の採用支援に携わります。そこで営業マネージャー責任者に抜擢されたものの、大きな壁にぶつかったと言います。

 

平田さん「仕事の成果は出せていたものの、組織から求められる期待と自身の実力の差が大きく部下との関係がうまくいかず、無理な働き方を続けた結果、突発性難聴や円形脱毛症にも悩まされました。当時、メンバーから言われてすごくショックだったのが『平田さんの言葉って、いつも上司の受け売りですよね。これでは、あなたがいる意味がわからない』という言葉。そこで悩んだ末に出会ったのが、成人発達理論でした」

 

成人発達理論とは、近年アメリカで知られるようになった学問で、心理学の一種です。これまで、人間は幼少期の約5歳までに人格を形成し、10歳ぐらいまでに人間関係の築き方が確立されると言われていました。

 

しかし、直近30年の研究で、大人になっても心の変容や、人との関わり方は大きく変わることがわかってきました。そこでは、5段階の発達段階が定められています。

(スライド:平田さん作成)

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平田さん「成人発達理論では、人は一生成長し、環境とともに変化していくと論じています。人間、まず生まれた瞬間は、2の『利己的』のようなな段階から始まります。泣けばミルクがもらえて、ただこねるただをこねると何か買ってもらえる段階ですね。そこから社会に出ていくにあたって、人の意見を伺ったり、我慢したり、寛容になっていく。

 

良し悪しは別として、日本人の約78%は3の『他者依存』だと言われています。私も、Indeed時代を振り返ると『他者依存』だったと思います。まわりの顔色を伺いながら成果を出し、期待に応えることを第一に考えていました。しかしマネージャーとして、自分自身の意見を、自分の言葉で発したことがあったかと考えると、自信がありません。会社からは4の『自己主導』を求められていたにもかかわらず、実際には『他者依存』の段階であることに対する葛藤が、すごくありました」

 

移住転職は幸せへの「即効薬」ではない

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成人発達理論と、リカレント教育などの「スキルを学びなおす」ことは、何が違うのでしょうか。平田さんは、両者を「OSとアプリケーションの違い」と説明しています。

図の横軸に並ぶアプリケーションが、勉強してスキルを磨くと増えていく部分です。ただし、縦軸のOSがWindows98のまま、最新のアプリケーションを立ち上げようとしても時間がかかったり、そもそもがインストールできなかったりします。成人発達理論は、心のOSともいえる、自身の価値観をアップデートしていく学問だと、平田さんは言います。

 

平田さん「私は成人発達理論と出会ってから、『何ができるようになったか』というCandoではなく、Unlearn、何を手放すかを考えるようになりました。逆に言うと、これまで何に執着してきたかを深く考えたんです。

 

それこそ幼少期の親子関係までさかのぼって、自分が優秀に思われたいとか、価値がある人間だと思われたい性質を認識し、そこをアップデートしていく必要があると感じました。その後、移住転職を検討するようになってからも、どんな環境にいたいかより、まず自分がどうありたいかを考えることがすごく重要だなと。

 

移住転職と聞くと、『大きく環境を変えることで救われるんじゃないか』とか『今の不安や不満から脱せられるんじゃないか』と感じる方もいらっしゃると思います。少なからずそういう面もありますが、正直、移住は幸せへの即効薬ではないと思っています。

 

本当に納得いく移住転職を実現させるためには、面接で聞かれるようなスキル面だけでなく、より深く、自身の価値観や願いを言語化していくことが非常に重要だと実感しています」

 

人生はグラデーションで変化していく

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イベント後半では、YOUTURNキャリアコンサルタントの高尾と平田さんのクロストークがおこなわれました。

 

高尾:成人発達理論についてお伺いして、大人になってもちゃんと成長できる、変わっていっていいと言われて安心感があるというか、将来に希望を見出せそうだなと感じました。

 

先ほど、日本人の78%、ほぼ8割が成人発達理論でいうところの「他者依存」の段階にいるとお話がありましたが、この「他者依存」って全体から見てどういう位置づけなんでしょうか。

 

平田さん:成人発達理論での他者依存は、通称「良き大人」と言われています。日本の国民性として、他人を思いやったり配慮したりと、周囲と協調しながら生きていく社会であることが、「他者依存」の割合を増やしていると思います。

 

また、新卒一括採用や終身雇用に代表される通り、組織の一員として活躍することで経済が良くなり、人事制度で評価されてきたことも大きいと思います。

 

高尾:今は少しずつ変わりつつありますが、日本はこれまで、他者依存社会で成り立ってきたということですね。

 

平田さん:そうですね。アメリカのデータを見ると「他者依存」は少なくて、「利己的」や「自己主導」が多数派になっています。

 

高尾:面白いですね。これって、「他者依存」だから偉いとか、「自己主導」の方が偉いという話ではないんですよね。

 

平田さん:全くないですね。どの段階も、良し悪しの評価というものはありません。

 

高尾:社会的にこの段階だと生きやすいとか、自分がどんな使命を負っていて、その場合はどの段階にいるのがフィットするかというお話だと感じたんですが。例えば「他者依存」から「自己主導」にステージが変わったら、ずっとそこで安定するんでしょうか。場合によっていきなり利己的な自分が出てきたり、異なる段階を行ったり来たりすることもあるのでしょうか。

 

平田さん:行ったり来たりしますよ。私も、成人発達理論のアセスメントを定期的に受けていた時期、退行したこともありました。成人発達理論の基本コンセプトに「含んで越える」というのがあるんです。今までの段階を味わい切った後、それを包含して垂直に、縦に器が大きくなると言われていて。

 

例えば、「他者依存」から「自己主導」にいきなり切り替わることは、ほぼありません。常にグラデーションで、3の「他者依存」から3.2、3.4、3.6、3.8、そして4の「自己主導」になっていくという。3.6は「死の谷」とも言われていて、自己主導でありたい自分がいるけれども、習慣として特定の相手には服従してしまうといった、揺れが起きたりもします。

 

高尾:実際の変化には、細かいグラデーションがあるってことですね。今って結局、どの段階にいるのが生きやすいんでしょうね。高度経済成長期だと、「他者依存」がハマっただろうと思うんですけど。

 

今、これだけ先行きが見えなくて、変化もどんどん起こっていく中で、今後はどのステージにいることが良いと思われますか。

 

平田さん:まだまだ日本社会の重心は「他者依存」ですが、雇用が流動化して組織が画一的でなくなっていく中で、少しずつ「自己主導」が求められ、じわじわ重たい岩が動いていくのではないかと。ただ、社会のアップデートには数十年かかると思うので、「他者依存」と「自己主導」、両方を自分の中に同居させることが重要だと思います。

 

私自身、福岡への移住転職で叶えられたこともたくさんあるんですが、やはり即効薬ではないので、移住前後に自分自身の内面がどう変化していったかを注意深く見ていく、そのプロセスを楽しんだり味わったりできるといいんじゃないかと思いますね。

 

高尾:平田さんの「変化は即効薬でない」っていう言葉、これから使わせてもらおうかなと思うぐらい、良い言葉ですよね。

 

平田さん:移住転職を過度に、「人生を変える最後のチャンス」みたいに考えすぎると、ひるんでしまいます。人生の1プロセスと捉えて、大きく変化させすぎないことも大事かなと思います。

 

移住転職を考えた時に沸き起こる不安や、最悪のケースとして想像することが、自分にとって「手放したいけど手放せないもの」なのかもしれません。それを全部テーブルに出して、YOUTURNさんと面談するなど、誰かに相談することが重要だと思います。私の場合、転職後の経済的不安があったんですが、最悪、前の会社に戻ればいいと考えました。ダメだったら東京に戻るとか、いろんな選択肢を自分の中に同居させておくと良いのではないでしょうか。

 

高尾:人間って、すぐ答えを出そうとするじゃないですか。でも今のお話を聞いてると、あえて答えを出さないことの大事さもあるのかなと。そう考えると人生、死ぬまでに答えって出るものなんですかね(笑)。

 

平田さん:もう、答えが出ないまま死んでいくと思います。これまでの生き方が、ピラミッドの頂点を目指す山登り型だったとしたら、今後は登山のプロセス自体を楽しむことが大切なんじゃないかと思っていて。

 

生活の中に既にある幸せを味わえないと、人は冒険したり大きなリスクを取ったりできないと思うので、変化を求めつつ、日常も楽しんでほしいですね。

 

福岡はソーシャルグッドな企業が多い

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質疑応答コーナーでは、福岡への移住転職を検討中の参加者から、様々な質問・コメントが出ました。その一部をご紹介します。

 

「キャリア形成には山登り型と川下り型の2パターンがあると聞きました。令和の激動の時代では、山=ゴールに向けて登るだけでなく、激流を下りながら目の前の課題等を増やしていくやり方もありそうです。」

 

平田さん:まさにそうだと思います。人生のフェーズによって、山の登り方や川の下り方を変えてもいいんですよね。また、よく聞くのが八ヶ岳型です。1つの山の頂点を目指して登るのではなく、八ヶ岳のような連山をクリアしていく。少し小さめの山を登ったら、次はもう少し高い山に登る、みたいな。そうやって様々な職種やコミュニティを渡り歩く連山型もあると思いますね。

 

高尾:この山登り型や川下り型って、別の言葉で言うと「キャリア・アンカー型」と「プランド・ハプンスタンス型」になると思います。キャリア・アンカー型は、「ここに行くぞ」とまず決めて、そこまで最短距離で向かうキャリアの使い方。プランド・ハプンスタンス型は「計画された偶発性」と言われ、出会いなど偶然の要素によってキャリアが形成されていくという理論です。

 

目指すものがあったとしても、「自分はこう決めたから」と思い込み過ぎると、良い出会いがあってもチャレンジできなかったり。両者に引っ張り合いの構造があるんじゃないかなと思います。今の自分はどっちなんだろうって、一度向き合ってみるといいかもしれないですね。

 

「福岡では、社会課題に取り組む事業への移住転職はよくあるのでしょうか?」

 

高尾:確かに東京よりも、福岡のベンチャー企業や新規事業の方が、社会課題にフォーカスしたものが多いと思います。お金を儲けて成功するというよりも、この問題を解決したいから事業をやっている、といった動機が強い気がしますね。

 

社会課題の解決を志向して移住転職される方も多いです。平田さんは、普段福岡で活動されている中で、どう感じますか。

 

平田さん:そうですね、私も近い感覚を受けています。福岡で事業をやっていて思うのは、社会課題が先に顕在化してくるのは、東京よりも福岡だということです。例えば、糸島では水問題が切迫しており、九州大学と連携して共同開発研究をおこなうなど、水問題に関しては東京よりも進んでいる。そういう、10〜20年後にはマーケットになっていくだろう社会課題の先進エリアが、地方には眠っていると思います。

 

最近、大学生と話していると、報酬対価が意味報酬、つまり「自分が社会にどう貢献しているか」を重視していると感じることが多いんです。企業側も、ソーシャルグッドであるかどうかが、採用のブランディングにおいて重要な因子になってくる。社会課題の解決を、建前ではなく本質的に考えている企業や、事業化しようという新興企業は増えている感覚がありますね。

 

高尾:「福岡のために」「九州のために」と言うと、異なる会社や事業であっても、まとまってくれる感じはありますよね。自社の収益を上げることは当然大事なんですが、それだけじゃない上位概念があるというか。そこは東京との違いとしてあると思います。

 

ではお時間になりましたので、最後に平田さんから一言いただいて終わりたいと思います。

 

平田さん:自己理解って、ひとりで考えるとどうしても、堂々巡りになったりブラインドスポットがあったりするので、キャリアについては高尾さんに相談をしていただければと思います。私は福岡がすごく好きなので、色んな方に移住してきてもらって、仲間が増えたら嬉しいです。本日はありがとうございました。

 

移住転職に迷ったらまずは相談を

 

イベント後の参加者アンケートでは、「成人発達理論、奥が深いと感じました。ここで学んでおくことが後々の人生に響いてきそうな気がします」「自分の中にあった転職・移住に関するもやもやの原因が整理された気がしました」といった感想が寄せられました。

 

また、「移住・転職活動を始めてすぐ壁にぶつかり、希望する職種を福岡で求めるのは至難の業だなと思いはじめていた所だったので、自己分析をするための頭の整理に繋がり良かったです」という声も。
 
YOUTURNでは今後も、移住・転職に役立つイベントを開催していきます。1人ひとりのライフステージに合わせたキャリア相談もおこなっていますので、迷われている方はぜひご相談ください。

 

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著者プロフィール

YOUTURN編集部
YOUTURN編集部
YOUTURNは、累計100名以上のハイクラス・エクゼクティブ、大都市の最前線で活躍されたビジネスパーソンの九州・福岡への移住転職を支援するエージェントです。地域特化、UIターン転職ならではフル・オーダーメイド転職支援を通じて、今世の中の求人票にはない、あなただけの求人ポジションをつくります。