▼無料キャリア面談への申し込みはこちらから
福岡特化のハイクラス転職
 
 

#3 小杉俊哉氏×福岡エイティーズのパネルディスカッション「自社で、どうしたら自身が起業家のように働けるか?」
 

やりたいことを見つけるためには?

井上 小杉先生、有り難うございました。せっかくなので講演頂いた内容をもとに、「自社で、どうしたら自身が起業家のように働けるか?」について、やるべきことと課題を会場から発表してもらおうと思います。ではまずグッドラックスリーのメンバーから行きましょうか。

参加者 自分がやりたいことをよく分かっていない状態なので、やるべきことは、もっと自分と向き合うことだと思います。自分がやりたいことと、会社での仕事に繋がることを見つけなければいけないなと感じました。

田口 僕もその話を聞きたいと思っていました。どうやったら自律的に働けるかを考えたときに、やはり基本的にやりたいことがあるからだと思います。起業家とはそういうものだと。志ややりたいことがあったら、既にやっていると思うんですよね。やりたいことがなくて困っている場合に、考え方のヒントを教えて頂けるでしょうか?

小杉 みんながビジョンややりたいことがあるわけではないですね。その場合には、まず行動から始めるんですよ。キャリア理論で有名な、プランド・ハップンスタンス(planned happenstance)という理論があります。つまり、偶然性を計画するということです。偶然をたまたま待っているだけだと可能性は低いので、自分で取りに行かなければならない。

そのために行動を起こす、行動を変えるということをクランボルツという教授が提唱しています。そこで重要なのが、「好奇心」「持続性」「楽観性」「柔軟性」「冒険心」と言われています。まず、自分の好奇心、面白い、楽しそうと思ったことに手を出してみる。これらの5つのキーワードを意識して、とにかく今までとは違う行動を取ってみること、行動を開始してみることですね。そうすると自分のビジョンというものが結果的に出てきます。

井上 うちの次男が先日自転車に乗れるようになったんですが、長男より上達が早かったんですよね。長男という分かりやすいベンチマークがいて、自転車に乗ることに憧れていて。だから、尊敬できる、憧れるベンチマークが社内外にいることも重要じゃないかなと思います。

小杉 大学でも色んな調査をしているんですが、キャリアモデルがいるというのはものすごく強いんですよ。自分のキャリアモデルが社内にいればもちろん目標にできるし、友達でもいいんです。

井上「あいつが出来るんなら自分も出来そう」という存在が身近にいるのは重要かもしれないですね。

 

いいアイディアを出すためには?

田口 では次、ホープの方どうぞ。

参加者 今所属している組織の問題点や課題を考えようと思っています。社内のメンバーが、自身の意見を上司に伝えられていない印象を持っています。多分、経験が短いということもあり、何が分からないかも分からない人が中にはいて、自分の意見が出せないことがあるのかなと思います。

井上 意見を持っていないから出せないという状況ですね。この状態だと一生出ないですよね。どうしたら良いんでしょうか?

小杉 例えば、IDEOという、アップルの初期のマウスをデザインしたことでも有名なデザイン会社は、数撃ちゃ当たる戦略なんですよ。例えば、新しい商品企画をコンサルティングするときに、アイディアを100個出すって決めるんです。つまらなくても良い。100個出すんです。数は質に比例するという発想なんですよ。

突拍子もないアイディアや、他の人が言わないような意見こそ大歓迎で、そういったアイディアを取り上げて考えてみます。そのアイディアを出す過程では、一切批評しないんです。面白がってその可能性を考えてみるんですね。批判がないからこそ、自分の発想や普段の疑問点を出すことが出来る。そういう会議があるんですね。

井上 グッドラックスリーでも、IDEOやチームラボを参考にして、アイディアを10個出すまで帰れま10(テン)っていうのをやっています。10人いると「帰れま10」でアイディア100個でるんですよ。テレビみたいにおもしろ企画にしてアイディアを募ってますね。

 

高いエネルギーレベルを維持するコツ

井上 イベントを(ライブ中継で)見ている方から、「行動する上で高いエネルギーレベルを維持するコツは?」という質問が入っています。

小杉 それはやはり好奇心ですよね。好奇心の対象や、自分の好きな趣味だったらエネルギーが湧くじゃないですか。なので、仕事でやらなければいけないことから、好奇心が湧くことに一歩踏み出すというのがすごく重要です。

かつ、それが仕事と重なるところを作れたら一番良いわけですよね。先ほど紹介した人たちは、会社のビジョンと個人のビジョンの重なりを作っている人で、無ければ無理矢理作ってしまっています。会社の目的にも無いことをやらせちゃっているわけですから、会社側のビジョンを広げてさえいますよね。

 

社内で起業家風土をつくるためには?

参加者 ボーダレス・ジャパンでビジネスレザーファクトリーというお店の店舗開発などを担当しています。その中で、超自走型チームをつくりたいと思っています。それは今日お話があったように社内に起業家をつくっていくことだと思うのですが、権限を委譲してそれを後押しするときに、自分たちが起業家であって、新しいことをつくっていくんだという風潮がないとやりにくいのではないかなと思います。そういったマインドを伝えるために、何かワークショップなど具体的にできることを教えて頂きたいです。

小杉 企業研修では将来のビジョンや具体的なイメージを、みんなで演じてもらう寸劇をやってもらっていますね。将来、例えば5年後にはこうなっているという自分たちの最高な未来を演じてもらうんです。これは非常に効果がありますね。全員をビジョンづくりに巻き込めます。

その前にやることは、「何が自分たちの強みか」の確認です。それは今まで会社で経験した最高の体験ってなんですか?なぜそれが最高なんですか?それを最高にした要素って何でしょう?周りの人たちはどうだったでしょう?大切な価値観って何でしょう?ということを皆で持ち寄るんです。それをまず形にします。これが皆さんのポジティブコア、ポジティブの源泉というんです。それをみんなで確認するんですね。私はこれをかれこれ17年ぐらいやっていますね。社員でビジョンを共有するのに絶大な効果があります。

それと、スポーツの世界では、どういうチームが成功しているかというと、チームの雰囲気が良いところなんですね。そのためには、お互いの良いところを認め合うとか、お互いに承認してあげるとか、褒めてあげるとか、まずいい人間関係を作るっていうところからスタートするんです。

MIT(マサチューセッツ工科大学)のダニエル・キムという教授が「成功の循環モデル」を提唱しているんですが、成果を上げようとすると、成果が上がらない理由を探そうとする。そうすると成果を上げられていない理由をあら探しし、出来ていない人間にダメ出しすることになり、人間関係が悪くなります。そうすると思考が後ろ向きになり、だれも行動しようとしなくなります。なので、結果の質から上げようとしてはいけないということが正の循環モデルにするためには重要です。

どうするかというと、必ず人間関係の質を良くすることからスタートするんですよ。スポーツでは例外なく、人間関係が悪いチームは勝てません。ビジネスも全く一緒です。だから人間関係を良くするんです。そうすると、思考が前向きになる。思考が前向きになるとみんなが行動を起こすんですよ。それこそ自走するチームになって、自ずと結果が出るんです。

 

任された仕事以上の仕事をするためには?

田口 では、他に質問はありますか?

参加者 自分が任されている以外のことをやりたいと思ってる場合には、それだけの覚悟が必要だと思うのですが、皆さんはどのように乗り越えられてるのか教えて頂きたいと思います。

小杉 Googleは明確にルールを設けていますね。今の仕事は8割の時間で終わらせて、2割の時間をイノベーションのために使いなさいと。これは分かりやすいですが、100%の仕事を80%の時間でやりなさいということなので、ある意味厳しいルールですよね。

同じようなルールを継続しているのが、15%カルチャーで有名な3Mですね。3,500点以上の商品がある会社ですが、直近5年間で開発された商品の売上が、全体の売上の3割以上を占めることをずっと会社の目標にして達成し続けている会社です。3Mの人は、これはルールじゃなくてカルチャーだと言っていますね。

そういう明確なルールを設定していたり、文化がある会社は分かりやすいですよね。いかに仕事を早く片付けて、本来やらなくてもいい領域に踏み出す時間を自分で確保するかというのは、みんながやるべきだと思います。だから会社としてそれを明確に定めるのも一つの方法です。

 

いい人間関係ってそもそも何?自分ごととして捉えるコツ

参加者 2点伺いたいのですが、1点目は先ほどの人間関係のお話に関して、良い人間関係って何だろうというのが疑問でして、そもそも定義づけることができるのかについてお伺いしたいです。

2点目は、自分の人生の主役になるべきということについて、会社の中で自分が知らない領域で自分に関わることが進んでいるときが結構あって、そういったときにどうしても他責になりがちです。我がごとだと捉えるきっかけや考え方を変える方法があったら教えて頂きたいです。

小杉 いい人間関係って、質を高め合える関係であって、必ずしも仲良しになるということではないと思うんですよね。お互いにリスペクトして、相手を一個の人間として見ることですよね。多様なバックグラウンドの人たちが集まってやっているわけですから、お互いのことをよく知ることが、関係性の質を上げることだと思います。

自分ごとにすることについてですが、自分ごとにしないと自分の心地いい人生にならないじゃないですか。関われないでどうしようもないことだったら、自分が関われる領域を増やしていかないといけないですね。自分がコントロールできる領域を作っていくことによって、その領域を広げていこうとすれば、それは自分ごと化できる領域になっていくので、楽しくやれるんじゃないでしょうか。

 

自律的な社員が多い会社の人事制度

参加者 自律型の社員が多い企業の面白い評価基準、人事評価等がもしありましたら、是非お聞きしたいです。

小杉 残念ながら大企業ではあまり例がないですね。いわゆる新興企業のほうが良い例がありまして、そういった企業は、自律して何らかのプロジェクトを作ったからといって別に給料が上がるわけでも、ボーナスが増えるわけでもない例が圧倒的に多いですね。要するに、何かやったからお金をもらえるというのは、目的がお金になってしまうんですよね。そうすると楽しくなくなってしまう。

それをやること自体が楽しいわけですから、動機付けとしてはそれで充分だということです。サイバーエージェントでは、表彰されてプロジェクトが出来たとしても、ポスターが一枚貼られるだけです。やっていること自体が最大の表彰であり、評価だという、そんな企業が多いと思います。

 

リーダーシップを高めるためには?

参加者 現在、自分の部署のメンバーが90名近くになりまして、自分で一人一人と人間関係を結んで教えていく、コーチングしていくことが難しい状況にあります。自分の分身を作ってさらにその下の部下を指導していく必要があると思うのですが、そういった際に気を付けるべき点や、アドバイスがあれば教えて頂きたいです。

小杉 『リーダーシップ3.0』という本がありますのでぜひ読んで下さい(笑)。直接部下を面倒見なければいけない立場のときは、シチュエーショナルリーダーシップと言いますが、使い分けをしなきゃいけないんです。でも、組織を束ねる立場になって使い分けをしてしまうと、「えこひいき」や、「ブレる」と言われてしまう。組織を束ねる人間は、ましてや社長だったら、自分のリーダーシップの型を作っていく必要がありますね。なので、どういう型が自分がやりやすいのかを考えていくといいと思いますよ。

 

従来の習慣を取り払うコツは?

参加者 今日のお話で一番印象に残ったのは変化するものが生き延びるというところでした。変化というのは、今の習慣や考え方を一度取り払わないといけないと思うのですが、習慣を取り払うためのポイントなどはあるのでしょうか?

小杉 習慣を取り払おうと思うと、ものすごく大変ですよね。なので、新しい習慣をただ始めるって思えばいいんです。それを3週間続ければ習慣になっています。

例えば、朝寝坊でいつもギリギリに出社するので毎日1時間早く起きようと思っても、三日坊主で終わってしまうわけですよ。普段の習慣を全面的に変えようとすると、非常にハードルが高くなって、結局出来なかったら自己評価を下げてしまう。そうではなくて、10分だけ早く起きてみる。今までの習慣を改めるほど大袈裟なことじゃないですよね。ほんの少しだけ何かを変えてみるとか、ちょっとだけ新しいことを始めてみるのがコツだと思いますね。

井上 有り難うございました。時間になりましたので、これでセッションはお終いにさせて頂きたいと思います。最後に先生から一言いただいてもよろしいですか?

小杉 はい、皆さん熱心に聞いて下さって有り難うございます。せっかくスタートアップで働いているので、発言する、質問するということをやってほしいなと思いますね。普段の会議でも同じですけど、機会は全て利用して、是非自分のプレゼンスをそこで必ず示すという意識で行動すると変わって行くと思います。

井上 先生、今日は濃い2時間を有り難うございました!

 

 

▼無料キャリア面談への申し込みはこちらから
福岡特化のハイクラス転職
 

著者プロフィール

中村 義之
株式会社YOUTURN創業者。地方のアセットを活かして持続可能なライフスタイルとイノベーションを生みだすための起業インフラを創出中。メイン事業はU・Iターン特化の転職エージェント。地方産業革新の担い手になりたい人材募集中。